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栗原勇蔵インタビュー 横浜純情伝~ハマの兄貴が語る「横浜魂」~

text by 藤井雅彦 photo by Kenzaburo Matsuoka

横浜を愛する生粋の“ハマっこ”

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【写真:松岡健三郎】

――話を巻き戻して、選手が移籍という道を選ぶのはなぜだろう? 最近はF・マリノスを心から愛している選手も減ってきている?

「それはクラブの責任でもあるし、ファンやサポーターの責任でもある。熱意の部分でね。もちろん現場で戦っている選手が結果を出せていないことに一番大きな責任があると思う。移籍する選手たちは、将来的にF・マリノスに貢献したいから今はほかのチームで腕を磨く、という理由ではない。

 F・マリノスで結果を残せずに移籍して、ほかのチームで結果を出せば、やっぱり評価されて嬉しいよね。チヤホヤされるだろうし、そのクラブを好きになる気持ちも分かる。でもいい時はみんな寄ってくる。どの世界でもそう。だから、そこじゃないかな。その時だけしか見ていないというか、F・マリノスに育ててもらった人はそれまでお世話になった人にどこで恩返しするのか。F・マリノスで結果を残すだけが恩返しじゃないけど、育ててくれたコーチや指導者が一番嬉しいと思うことに間違いない」

――勇蔵は横浜を愛する生粋の“ハマっこ”だよね。

「そのプライドのあるなしの差はけっこう大きい。横浜で生活していて、大阪や沖縄出身の人がいると『え、大阪なの!?』って盛り上がる。でも大阪にいても横浜の話題で盛り上がることはまずない。あれってなんなんだろう。出身地の瀬谷の話なんて、まず出てこない(笑)。とりあえず横浜はなんでも揃っているし、住みやすい街だと思う。世間一般でも人気が高いしね」

――ただ今の若い選手はビッグクラブという意識も薄れているのかなと思う。

「最初からこのクラブにいると難しい部分も多いと思う。環境が良すぎて、ステップアップの道が見えにくい。今でこそ海外リーグに行くという道があるけど、オレがプロになった頃は『ずっとここで生きていく』というくらい価値があった。当時は海外移籍する選手はレア中のレアだった。ウチよりもいいクラブは日本全国を探してもほとんどない。

 でも、地方で規模があまり大きくないクラブだったら、そこで成功して都会のビッグクラブに移籍しようというモチベーションが生まれる。例えば、プロとしての最初はF・マリノスにいて、あまり結果が出なくて移籍して、そのとき初めてビッグクラブの価値が分かる。恵まれすぎていたことが分かる。その時はいるだけで満足しちゃっていることに気付かないんだよね」


 この続きは、『フットボールサミット第14回 横浜F・マリノス 王者への航路』でお楽しみください。

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