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“マイアミの奇跡”よりも熱かった! “ドーハの悲劇”の教訓が活かされたアトランタ五輪予選・サウジアラビア代表戦

10月5日、NHKで放送された「ヒーローたちの名勝負」では、28年ぶりのオリンピック出場を決めた若き日本代表の激闘を特集。1996年のアトランタ五輪出場を決めたアジア最終予選、サウジアラビア代表戦での「知られざる真実」を明かしたものとなった。

text by 編集部

「若きイレブンの死闘 アトランタ五輪予選最終予選」
「ヒーローたちの名勝負」番組ホームページより

 10月5日、NHKで放送された「ヒーローたちの名勝負」では、28年ぶりのオリンピック出場を決めた若き日本代表の激闘を特集。1996年のアトランタ五輪出場を決めたアジア最終予選、サウジアラビア代表戦での「知られざる真実」を明かしたものとなった。

 番組は、当時のU-23日本代表主将だった前園真聖が、決戦の地であるマレーシアを17年ぶりに訪れ、その戦いを回想する形で始まった。Jリーグ誕生から3年がたち、史上初めてチーム全員がプロ選手として挑んだ五輪出場予選。まず、このチームのキャプテンを前園に指名した理由を西野朗監督がこう明かす。

「全てを兼ね備えたリーダーではなかったが、(プレーを)やってみせるだけでも存在感はあったと思っている」

 9日間で4試合という過酷な日程を戦う中、順調に勝ち進んだ日本代表。五輪出場権をかけた準決勝の相手は、サウジアラビア。GKの川口能活が「ブラジルみたいなチーム」と評したように、体格、テクニックなど全てにおいてこれまでとはレベルが違う相手に、試合前の選手にも緊張感が走った。

 様々な入念な準備をして迎えた運命の一戦。

 日本は狙い通り、相手のキーマンであるドサリを徹底マークして、試合を有利に進める。そしてワンタッチパスで崩し、抜け出した前園のゴールで先制点。1-0で前半を終えた。

 リードして迎えたハーフタイム。スタッフ達は過去の教訓を生かしていた。3年前、ワールドカップの出場権を逃した「ドーハの悲劇」では、ハーフタイムに興奮した選手達で騒然となり、監督の指示が行き渡らなかったからだ。

 選手たちが落ち着いて後半の戦い方に集中させるように、ロッカーでは全スタッフに指示を行き届かせていたのである。選手の落ち着きを確認した西野監督は選手達にプランを明かす。

「守りに入るな。攻め続けろ」

 その指示が実を結び、後半にも追加点。決めたのは再び前園だった。これで出場のキップを手中におさめたように見えたが、その後はサウジアラビアからの怒濤の猛反撃を受ける。「相手の圧力は予想以上だった」と前園。川口も「ずっと攻められていた記憶しか無いですね。1-0の時以上に追いつめられていた」と振り返る。そしてセットプレーから警戒していたドサリに決められて失点。2-1で残り13分となった。

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