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Jリーグ 10年前

財政危機の大分はクラブを存続させることができるのか。青野社長が語る再生への道

text by ひぐらしひなつ photo by Kenzaburo Matsuoka

「クラブライセンス制度」というハードルを越えるために

 13年6月、大分FCは「クラブライセンス制度」の条件クリアへ向けて、累積赤字を減らし、増資環境を最大限に整えるため、資本金と資本準備金あわせて約5億3700万円の100%減資を実施。青野社長ら取締役3人が計150万円を出資して新たなスタートを切った。

 クラブライセンスを取得するには、現時点で5億8千万円に上る債務超過を14年度中に解消しなくてはならない。J1で戦った13年度は1億8千万円の利益が見込まれるため、残りは4億円。毎期1億円の利益目標を差し引いての3億円の債務超過を、新たな出資を募ることで解消したいという考えだ。

 減資と増資という最終手段の選択肢については、経営危機が発覚した09年の時点でも、あるにはあったという。ただ、クラブへの信頼が失墜し、J2降格や主力選手の流出などでチームに期待感が持てない状況で出資を募ることは難しいと、青野は判断した。以来3年間、クラブは黒字体質への転換やチームの再構築を図り、信頼回復に努めてきたのだった。

 4月の株主総会で「年内を目処に債務超過解消の道筋を示せるようにしたい」と青野が述べたとおり、12月までには何らかの具体的なスキームが発表されると思われる。

「5年後、10年後、そしてさらなる将来へとクラブの歴史を積み重ねていくためには、我慢する時期も必要です。今シーズンのようにJ1に昇格しても、満足に戦力を補強できず悔しい思いをすることもある。それでも我々は堅実に一歩一歩、進んでいかなくてはならないんです」と、力を込めて青野は言った。

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