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【独占インタビュー】ゲルト・エンゲルス「フリューゲルスは本当に家族だった」

text by 羽澄凜太郎 photo by Rintaro Hasumi

「フリューゲルスの選手とは今でも会う」

――サッカーをさせる為の根本的なところがダメだったということでしょうか? 

「そうね。やっぱり環境が全然違う。ここ(イングランド)とかドイツと違ってお金もない。モザンビークは世界で下から3番目に貧乏な国。だからスポーツの施設はほとんどないし、我々が当たり前と思っていることが当たり前ではない。

 例えば1人1個ずつボールを持ってくることはまずない。10人で1個ボールがあればみんな喜ぶっていう世界。協会の組織にビジョンやコンセプトがないから非常に難しかった。その反面、選手の質は良かったから仕事としては満足できたね」

――日本で指揮しておられた頃のお話を伺わせてください。日本では(横浜)フリューゲルスとジェフ(市原、当時)と(京都)サンガ(当時:パープルサンガ)とあとは(浦和)レッズの4クラブで指導されていらっしゃいました。どのシーズンあるいはどのチームが印象に残っていますか? 

「僕はいつも仕事をした瞬間、そのとき、そのときに思い出があるね。フリューゲルス入ったばかりの頃も嬉しかった。サテライトの監督を務め、フリューゲルスで初めてトップチームのアシスタントコーチになったからとても楽しかった。

 僕はね、実はJリーグが出来てから最後の試合までフリューゲルスにいた。本当に最後までいたからそれだけの大きな経験ができたなって思う。フリューゲルスの選手とは今でもあちこちで会うしね。

 吉田(孝行)もまだやっているし(編注:先ごろ引退を発表)、楢崎(正剛)もまだプレーしている。他の選手もまだ引退したばかりぐらいだからよく連絡を取るよ」

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