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なぜカゴメはマンUのスポンサーになったのか?

text by 鈴木康浩 photo by editorial staff

当初、マンU側は困惑気味の対応

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東北や日本の「再生」をキーワードに共同プロジェクトをスタート【写真:編集部】

「彼らはソフトドリンクというジャンルで日本のスポンサーを探していました。それと『ワールドワイドでの飲料分野のスポンサーはつくらない』という意向があったようです。また、健康的なイメージのある飲料として弊社を選んだのだと思います」

 カゴメとしても2005年に「トマトジュースが運動疲労軽減に効果がある」という研究成果を発表してから、トマトと運動の関係性を注視していた。そして昨年6月にはマラソンランナーの藤原新選手とスポンサー契約を結ぶ。

 カゴメにとって運動という新たな分野を開拓し始めたときに舞い込んだ、マンチェスターUからの突然のオファー。トマトと運動という観点から、そして、人々の健康を目指す企業であるカゴメには「マラソンのような持続型スポーツとの親和性を重んじるべきではないか」との社内の総意があった。その点、サッカーの競技性は高く評価され、パートナーシップ契約にゴーサインが出たのだ。

 そして実際に何をやるのかという段になってカゴメは「人」と「社会」の再生を応援する取り組みについて一緒に取り組めないかという思いをマンチェスターUに伝える。

「東日本大震災で日本の社会は傷つきましたが、問題なのは徐々に風化してしまうこと。カゴメがマンチェスターUと組んで復興再生を唱えれば必ず世の中が思い出します」

 当初、この案に対してマンチェスターU側は「それは慈善事業ではないのか?」「パートナーにもメリットがないと我々は困るのだ」などと困惑気味だったという。

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