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代表 10年前

強豪国の仕上がり具合は? 共に不安要素を抱えるドイツとイタリア

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

不安要素多いイタリア

強豪国の仕上がり具合は? 共に不安要素を抱えるドイツとイタリア
イタリア代表はブラジルW杯に向けての不確定要素は少なくない【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 この日のイタリアの得点は、オーバーラップからカットインを仕掛け、ワンツーでシュートを放った、アバーテの見事なゴールによるもの。これも正確なパスワークで敵陣を押し広げ、スペースを巧みに使うという共通意識の産物だ。

 これまでは様々なシステムを使い分けてきたが、強豪のドイツとのテストマッチにあたり改めてダイアモンド型の4-4-2で挑んだことも象徴的である。プランデッリ監督自身も「我われのサッカーにはこれが最適」と語っている。

 しかし反面、フィニッシュワークの工夫にはあいかわらず課題を残した。バロテッリをCFとして主軸に据える形は定着したものの、彼へのフォローが薄い。EURO2012準決勝ではカッサーノに振り回されたフンメルスも、この日は幾分らくにバロテッリのケアへ集中できたはずである。

 やはりこのあたりは、人材の成長を待つしかないようだ。エル・シャラウィは復調のきっかけを失いまた故障で戦線離脱中、リーグで好調のインシーニエやフロレンツィらの若手は未知数だ。

 その意味でジュセッペ・ロッシの代表復帰は興味深かったが、この日は故障のため起用は見送り。バロテッリはメンタル面で常にリスクを抱えるだけに(ドイツの前日会見ではミランOBのビアホフ・チームマネージャーがわざわざ警告を発していた)、ブラジルW杯に向け不確定要素は少なくない。

 組織的な攻撃サッカーのさらなる追求に舵を切ったドイツに、ポゼッションへの確信を高めつつ前線の人材の発掘に腐心するイタリア。来年の6月までに最適解をみつけるのは、果たしてどちらか。

【了】

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