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【専門家が一刀両断!】なぜJクラブの経営危機は繰り返されるのか?「チーム成績頼みのギャンブル経営を止めるべき」

text by 鈴木康浩 photo by Ryota Harada , editorial staff

「来年黒字に転換すると発表しましたが、その根拠が甘い」

――なるほど。そのお話は後ほどお伺いするとしまして、まずこういう状況のときに「身の丈経営をしろ」といったフレーズが必ず出てくるわけですが、ではJクラブの身の丈経営とは何だろうなと思うんです。

 要は、クラブの総予算に占めるチーム強化費が6割7割以上あれば度を越していると感じるのが妥当だと思うのですが、たとえば、栃木は5割にも満たない(今季は予算8億弱に対して3億5000万円程度)。もちろん、それを支えるだけの収支計画が甘かったから今こうなっているわけですけれど。

「僕が思うのは『身の丈経営』に基準はないということ。100億集められるクラブは100億使えばいいし、3億しか集められないクラブならば3億を越すものをねだってはいけない。それと、地域やファン、スポンサーも含めてどれだけお金が見えているのかということ。

 栃木のケースで言えば、今回の記者会見で来年度黒字に転換すると発表しましたが、その根拠が甘いように思えるわけです。一般企業でいえば、来年この新商品を発売して確実な売り上げが見込めますから黒字になります、と発表できる。それならば銀行はお金を貸そうとしますよ」

――確実性の問題ということですね。

「そうです。たとえば、バルサやプレミアのクラブにも銀行はお金を貸しています。なぜか。クリスティアーノ・ロナウドのようなスター選手が来るからですよ。来るなら勝つだろうと。来ればレプリカやグッズが売れるだろうという確実な見込みが立つ。

 けれど、残念ながら現状のJクラブには到底そういう見込みも立たなければ人気もない。それでクラブの予算を立てている方々は、言い方は悪いですけれど、来年度に入る予定の収入と支出とを計算して1億円足りないとなったとき、『不足分の1億円÷席数』で計算して2万人増やさないといけないとなれば、『来年は2万人増やします』と事業計画に書いてしまっている」

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