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元浦和フィンケ監督によって蘇ったカメルーン。W杯ベスト16への最大のポイントは“内部分裂”の防止

text by 河治良幸

強力な中盤のトライアングル

 その意味で今のところ不安視されるのが1トップだ。チュニジア戦ではエトーも信頼を置くウェボが2試合とも先発し、第2レグでは得点も決めたが、世界で戦うには前線での迫力と決定力がやや不足している。ただ、長身FWチュポ=モティングは粗削り感を脱しておらず、アフバカルは個の打開力に優れるものの、周囲と呼吸が合いにくい。

 中盤でチャンスメークの先鋒を務めるのはマクンだ。もともと守備的なMFのポジションが本職だが、フィンケにはセカンドトップで起用される。高い位置で自慢のボール奪取力を発揮し、そこから素早いパスや飛び出しで攻撃を加速する。

 セカンドボールに対する反応も研ぎ澄まされている。チュニジア戦では2得点を叩き出すなど、すっかり新境地を開拓した。

 そのマクンとボランチのソング、エノで構成するトライアングルはパスをつなぎながら流動的にポジションを取り、左ウィングのエトーや右ウィングのムカンジョの鋭い飛び出しを促す。3人共にアンカーからトップ下までこなせる中盤のユーティリティであるため、流れの中で攻守の役割を変えることができるのは大きな強みだ。

 もう1つ、カメルーンの攻撃を高めているのは左サイドバックのアス=エコトの攻め上がりと大きく弧を描くクロス。これがピンポイントで合えばアタッカー陣は驚異的なバネを活かしてフリー同然のヘッドに結び付ける。

 中盤が機能するほどアス=エコトも高いポジションを取れる。ただ、自陣から斜めに入れるロングボールも精度を伴い、苦しい時間帯でも彼の左足キックが大事な武器になる。

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