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本田圭佑 10年前

セリエAに“慣れた”本田圭佑。猛プレスでも圧巻のキープ力、流れ引き寄せた右からの展開力

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

決定機に至った巧みなランニング

 数年来、コンスタントにセリエA残留を決めているカリアリの強みは、4-3-1-2のシステム固定で培われた連係と、タフなプレスにある。これまでの試合で、本田が厳しく寄せられた末にボールをロストしたシーンが少なからずあった。彼らがそんな本田に対してどう対処するのか、その一方で自身はどうプレーを修正するのか、興味があった。

 いざキックオフになれば、本田はトップ下ではなく右サイド。カリアリの中でもとりわけタフなプレスを誇るアンカーのダニエレ・コンティ(ローマのレジェンド、ブルーノ・コンティの息子)のプレッシャーから逃した格好だが、その本田には左SBのムッル、そしてサポートに入る左ボランチのエクダルがはり付いた。

 彼らは本田に体を寄せ、特に左半身のスペースを切り、左足でボールタッチを許さないようにしていた。しかし本田は粘った。左足で切り込めないなら右足でマーカーの背後を突き、振り切れなければ耐えた末にファウルを貰う。

 そしてそんな状況の中、ゴールから離れたポジションからスタートし、3度の決定機に絡んだことは、むしろポジティブに捉えるべきことだ。代表での岡崎、またポジションは違うが現在インテルで5ゴールを挙げている長友を見れば明白だが、外から斜め方向に絞った動きをDFは視野に入れづらい。

 戦術的に考えられたランニングによって本田はマーカーを振り切り、シュートにまで持って行くことが出来ていたのだ。

 中でも39分、中盤へ下がるバロテッリやカカーの動きに連動するような形で前線に飛び出し、デ・シリオのアーリークロスを呼び込んだ動きは秀逸だった。このヘディングシュートも止められているが、これはむしろファインセーブを見せたアブラモフの反応を褒めるべきだろう。

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