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長期的な若手育成プランにサポーターは反発。復活を期すマルセイユの変革を阻む“温度差”

フランスで圧倒的な人気を誇るマルセイユ。だが、今季はPSGやモナコに押され、CLでも全敗。苦戦が続いている。若手を育成し、長期的なプランへとかじを切ったが、上手くいっていない。その理由とは?

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

有力な若手選手を次々と獲得したが…

長期的な若手育成プランにサポーターは反発。復活を期すマルセイユの変革を阻む“温度差”
フロリアン・トーバン【写真:Getty Images】

 今シーズン、すっかり影が薄くなっているのがマルセイユである。

 フランス人に贔屓のサッカークラブの名前を聞いて、一番多く耳にする答えが、『ローエム』(L’OM)、オランピック・マルセイユだ。地元マルセイユはもちろんのこと、全国区でも人気が高いのは彼らくらいだろう。

 ところが、今季はPSGとモナコの2強に押されて元気がない。23節を終えて5位につけているが、首位のPSGには18ポイント、2位のモナコからも15ポイント差をつけられ、挽回の兆しもない。

 昨シーズンを優勝者PSGと勝ち点12差の2位で終えると、夏のメルカートでマルセイユははっきりとしたクラブの方針を打ち出した。

 昨季のリーグ2最優秀選手賞を受賞した21歳のMFジャンネッリ・インビュラに800万ユーロ、昨年のU-20W杯で活躍した同じく21才のMFフロリアン・トーバンに1200万ユーロ、19歳のセンターバック、ベンジャマン・メンディに400万ユーロと、決して安くはない金額を投じて、いずれも国内では飛び抜けて注目度の高かった若い逸材を手に入れた。

 ラブルーヌ会長に、優秀な若手を育てることで長期的に安定した成績が出せる強いチームを作りたい、というビジョンがあったからだ。

 しかしこのクラブは、残念ながらそんな悠長なことは許されない環境にあった。

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