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本田圭佑 10年前

「走る距離が80メートルから30メートルに」。本田爆発の要因はインザーギによる戦術の整備と冷静さ。「ゴール前では悪辣になれ」

セリエA第7節を終えてトップタイの6得点と好調を維持する本田圭佑。その要因はフィリッポ・インザーギ監督による選手の特徴を生かした戦術の整備にある。さらに、ゴール前での冷静さと技術を高めたことも得点につながっている。

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

エル・シャラウィの仕掛けと本田の中へ絞る動きがフィット

「走る距離が80メートルから30メートルに」。本田爆発の要因はインザーギによる戦術の整備と冷静さ。「ゴール前では悪辣になれ」
本田圭佑の変身ぶりについては様々なところで分析がなされていた【写真:Getty Images】

 ヴェローナ戦での見事な2ゴール。7試合を経過し、PK抜きでシーズン6ゴール目に達した。

 これで本田はチーム内でダントツのトップスコアラーとなっただけでなく、ナポリのカジェホン、そしてユベントスのテベスらと得点ランキングを争うことになってしまったわけである。

 コンディションの強化、コミュニケーションの向上――。本田の変身ぶりについては様々なところで分析がなされていたが、チーム戦術が変わって来たというのも大きなファクターの一つである。

「本田は何も変わっていないと思う。むしろ昨季のミランが色々と酷かっただけで、80メートルを走らされていたものが今季はようやく30メートルで済むようになった」

 ある地元記者はそう語ったが、本田にとって攻撃に絡み易い形になったということだ。

「確かに、一人一人の特性を活かし易い形にチームは整えてあるし、得点は練習した形だ」とインザーギ監督は語った。

「エル・シャラウィはサイドからの仕掛けが上手いし、一方で本田は中へと絞った時に良さが出る。そういったところを整えている」

 実際ヴェローナ戦での2ゴールは、似たメカニズムで取ったものだった。フェルナンド・トーレスがDFを引き連れて空いたスペースに本田が外から中へと走り込み、そこにエル・シャラウィやラミーが手数を掛けずにスルーパスを入れて来たのである。

 そして元を辿れば、これは開幕からずっと続けてきており、実際点に繋がっている得点パターンである。DFが視野を取りにくいサイドから斜めに走り込み、味方が空けた前線のスペースに飛び込み、点を奪って来た。

 その後のシュートこそ右足あり、ヘディングありとバラエティに富んでいたが、動きの形は同じものだ。

「こういう発想の出来たインザーギの手腕によるところはもちろん大きい。本田自身も、いままでこういうプレイはして来なかっただろう」とガッリアーニ副会長は試合後に語っている。

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