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岡山湯郷、急造GK奮闘も皇后杯敗退。背番号は手書き、その理由とは

text by 編集部

福元負傷でチームは緊急事態に

 二つ目は福元の負傷だ。今月6日に行われた国際女子クラブ選手権の3位決定戦、浦和レッズレディース戦で福元は目の下を負傷して交代を余儀なくされ、この試合以降欠場となってしまう。今回の事態はここから始まったと言っても過言ではない。

 浦和L戦では前述の青柳が登録されていたため、GKの途中交代が発生しても問題はなかったのだが、この大会後に開幕した皇后杯ではそうはいかない。しかし、岡山湯郷にとって皇后杯の初戦、3回戦の日体大戦ではMF布志木香帆がGKとしてゴールを守り、3-1で見事勝利を収めている。

 そして今回の「急造GK」が発生した根幹はまた別のところにある。今季開幕前、岡山湯郷から10人もの選手たちが退団した。一時は11人すら集められるか危うい事態に陥ったのだが、なんとかベンチメンバーまで集めたという経緯があった。退団選手には昨季までの2ndGKや、今季チャレンジリーグで得点王に輝いた若手有望株も含まれていた。

 そして夏に今季2ndGKを務めていた林崎萌維が長野パルセイロレディースへ移籍。残されたGKは福元ただ1人となってしまったのだ。

 その後青柳を緊急補強するのだが、福元の予期せぬ負傷で今回のような「急造GK」を起用せざるをえない状態になってしまった。

 過去2005年にジェフ千葉レディースが本職のGKを1人も登録せずにシーズンを戦ったという事例もあるが、今回はGKという存在の大きさを改めて感じさせられる試合だった。

 身長159cmと小柄な谷口は慣れない動きにも必死に対応し、きわどいシュートを何本も弾き出した。そのプレーは負けたとしても素晴らしいもので、チーム全員が最後まで戦い抜いた岡山湯郷は称賛されてしかるべきものだった。そして、彼女たちの姿勢は多くの人々に勇気を与えたに違いない。

【了】

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