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尹晶煥監督、サガン鳥栖退任後初のインタビュー「鳥栖には信頼できる選手が本当に多かった」

text by 慎武宏 photo by LEE WANBOK/FA photos

パス交換を100回できたとしても勝ち点1にもならないぞ!

尹晶煥監督、サガン鳥栖退任後初のインタビュー「鳥栖には信頼できる選手が本当に多かった」
サガン鳥栖の監督退任以降初となるインタビューを敢行。ユン・ジョンファン氏は何を語る?【写真:LEE WANBOK/FA photos】

――ボールを早く前線に送ったあと、2~3回のパスで一撃を放つ。そんなイメージでしょうか?

「そうですね。それが効率的ですし、鳥栖の選手たちに合っていた。選手たちにも言い続けましたよ。『パス交換を100回できたとしても勝ち点1にもならないぞ』と。もちろん、ボールを保持し続けることも大切ですが、数回のパスでゴールを挙げたほうが理想的ですし、鳥栖には決定力があるストライカーがいましたから」

――豊田陽平選手ですね。

「ええ。トヨは重量感があって自己犠牲も厭わない。監督の立場からすると非常に頼りになる選手です。だからこそ、トヨがブラジルW杯メンバーに落選したときは自分のことのように悔しかった。メンバーに選ばれた柿谷(曜一朗)、大久保(嘉人)、齋藤学などはタイプが似ていたので、彼らとはスタイルが違うトヨが選ばれるべきだったと今でも思っています。

 実はトヨとは私が監督になったシーズン前、面談したこともあったんです。私が目指すサッカーについて話し合い、互いの信頼を確認しました。その後も彼は常に私の信頼に応えてくれましたし、何か問題や意見があれば互いに話し合う仲でした。トヨだけではありません。藤田(直之)、丹羽(竜平)、池田(圭)、(金)民友など、信頼できる選手が本当に多かった」

――弟子のような存在ということでしょうか?

「師弟関係というよりも年の離れた兄弟のような感じと言えるかもしれません」

――どちらかと言うと怖い兄貴では? コーチを務めていた頃は選手たちの間で「鬼」と呼ばれていたようですから(笑)。

「それは、厳しい練習を課し、選手たちの前でも笑わず近寄りがたかったせいだと思いますが、ピッチではあえて厳しく振る舞いました。

 なぜならプロである以上、ピッチの中ではストイックになるべきなのです。ピッチの中は世間で言えば仕事場であり、真剣に働かなければお金を稼げない。一般のサラリーマンの方たちは毎日8時間以上働かねばなりませんが、試合は2時間、練習は長くても1回3時間程度です。そこに全身全霊を注げない者に、プロを名乗る資格はありません。そういう信念のもとで、コーチ時代は選手たちに強く接しましたし衝突することもありました。

 ただ、あまり厳しすぎるとチーム全体がヘシ折れてしまうと思い直して、監督になってからは選手たちと意識的に対話するようにしましたし、ピッチの外ではできるだけリラックスさせましたよ。その変貌ぶりに選手たちも驚いたのでは(笑)」


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