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日本協会、日韓W杯汚職疑惑は事実か? 信ぴょう性高いスペイン紙報道。限りなく濃いFIFAの闇

text by 山本美智子 photo by Getty Images

汚職の震源地は南米サッカー協会及び北中米カリブ海サッカー協会

 もとい、こういった前提を理解した上で、ここで報じられているのは2002年日韓共催ワールドカップの件だ。全ては、アス紙に出てくる「証言者X」の話をもとに構成されている。同紙には、その「証言者X」の背姿の写真も掲載された。

 その証言者Xには小学生の息子がいて、その写真を見て『あ、パパが写っている!』と息子に言われ、X氏が答えにつかえた、といった談話もあわせて載せられている。

 このX氏は、南米サッカー協会に10年以上勤めていた人物であり、まずその南米サッカー協会及び北中米カリブ海サッカー協会が、汚職の震源地であるという大前提がある。

 彼は時に運び屋としても働いており、例えば、1986年から2013年まで6期に渡り、南米サッカー協会の会長を務めたニコラス・レオス(在宅起訴中)が、自分の妻のマリア・クレメンテや助手の名前を使って、金銭取引を行なう現場を見てきたことなども告白している。

 そういった流れの中で報じられたのが、日本サッカー協会の当時の名誉会長、長沼健氏(故人)が、2002年の日本開催支援金として、150万ドル(約1億8500万円)を中南米サッカー協会に送金したというものだ。

 中南米サッカー協会は、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、コロンビア、チリ、エクアドル、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ、ベネズエラから、成っている。

 このX 氏は、その150万ドルについて「当時(2000年)、今はもう亡くなっている日本サッカー協会会長の長沼健氏が、2002年のワールドカップ日韓共催の候補として、南米の票のために、10ものサッカー協会で分け合うように中南米サッカー協会に送った」と証言している。

 さらに「この150万ドルは、実際は別のやり方で分けられた。そのうち、120万ドルはレオスの口座に振り込まれた。20万ドルは中南米サッカー協会の総書記官エドゥアルド・ルカに、そして残りの10万ドルはFIFAとの繋ぎ役であるソラ・ダニスに振り込まれた」とも明かした。

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