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代表 9年前

ハリルジャパン、W杯予選次戦の相手カンボジアの現状。急成長をもたらした日本人の存在

text by 本多辰成 photo by Getty Images

今、東南アジアで最も激しく動いている国

ハリルジャパン、W杯予選次戦の相手カンボジアの現状。急成長をもたらした日本人の存在
木場昌雄氏【写真:Getty Images】

 カンボジアの育成年代のポテンシャルの高さは、多くの関係者が語っている。Jリーグアジアアンバサダーで東南アジアからJリーガーを排出するための活動に尽力している木場昌雄氏(元・ガンバ大阪ほか)は、近年のカンボジアをこう見ている。

「戦術理解度とフィジカルについてはまだ劣ると思いますが、技術とメンタルについては非常に高いポテンシャルを感じています。育成年代の環境整備も進んでいる印象がありますし、ここ数年で格段に力をつけてきている国だと思います」

 代表チームがW杯アジア2次予選に進出し、スター選手が揃う日本と同組となったことも相まって、カンボジア国内は空前のサッカー人気に沸いている。

 2次予選初戦のシンガポール戦ではここまでの2次予選全試合を通じても最多となる6万3000人の大観衆を集めており、続くアフガニスタン戦も5万5000人が見守った。

 カンボジアの国内リーグは昨シーズン一気に日本人選手が増えたが、今季もさまざまな変化や改革があって発展が始まりそうな気配がある。育成に目を移せば、首都プノンペンの郊外に作られたアカデミー施設でJFAから派遣された壱岐友輔氏の下、2023年の東南アジア競技大会優勝を目指した「10年計画」もスタートしている。

 もちろん、現段階で日本が勝ち点を落とす可能性は高いものではないだろう。だが、今のカンボジアが東南アジアでも最も激しく動いている国のひとつなのは事実だ。「何も起きていない国」ではないだけに、あまり過度な軽視は取り返しのつかない事態にもつながりかねない。

【了】

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