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堕落するマルセイユ。低迷する順位、ファンの暴動…かつての英雄に浴びせた非道なバッシング

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

次節はPSG戦。懸念される再びの暴動

 マルセイユは次の7節も、17位と低迷するトゥールーズに1-1のドロー、続く8節は、今夏16年ぶりにトップリーグに昇格したばかりのアンジェにホームで1-2の敗戦という屈辱を味わわされた。そんなタイミングで迎える次の試合は10月4日のPSGとのクラシコだ。ここでも超厳戒態勢が敷かれることになるだろう。

 マルセイユサポーターの蛮行にピリピリしているのは、リーグ1だけではない。おかんむりなのはスポーツ省だ。リヨン戦の翌日、長官のパトリック・ケネルは「スタジアム内に発煙筒や瓶を持ち込ませるとは、いったい警備は何をしているのか! サポーターの行為を審判のせいにしているラブルーヌ会長もけしからん!」と大怒りのコメントを出したが、彼が憤慨している理由は、2024年のオリンピック開催地にパリが立候補しているからだ。

 ロンドンに奪われた2012年大会から落選を続け、『次の2024年こそは必勝!』を旗印にキャンペーンを進めているフランスにとって、スポーツイベントでの暴力事件は対外的に一番大きなマイナス要素になってしまう。

 現時点では、マルセイユサポーターは500人だけがパルク・デ・プランスでの観戦を認められている。過去に、両者の対戦後ビール瓶の投げ合いが続く中で飛び散る破片の合間を縫うように帰宅した怖い記憶が思い出されるが、今回は穏便に片付く事を祈りつつ、サポーターには違うことにエネルギーを使ってもらいたいものである。

【了】

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