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レアル崩壊はなぜ? 必然だったバルサの勝利、クラシコの全てを決めた“1つの過ち”

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

アンカーのカゼミーロ不在。中盤は手薄に

 そして迎えた大一番。両チームとも負傷者はこの試合を見据えて調整してきたのは当然であり、実際にマドリーはベイルもベンゼマもハメスも先発に復帰。バルサもメッシがベンチ入りを果たした。

 当然ながらベニテス監督は、前線にスーパースター4人を起用するために6試合ぶりにカゼミーロを先発から外すことを選択。システムを4-2-3-1に戻し、中盤にはクロースとモドリッチを並べ、開幕当初に思い描いていた形を採用した。

 一方のエンリケ監督は、今季大ブレーク中のセルジ・ロベルトを右ウイングに入れ、普段通りのシステムで普段通りの戦い方を選択した。

 両監督ともチームにとってニュートラルな形を選んだのかもしれない。しかし、負傷者続出という事態の対応としてチームの根本を変えなかったエンリケ監督に対してベニテス監督は根本から変えてしまった。

 そのため、カゼミーロをアンカーに起用し守備に重きを置いたスタイルこそ、今のマドリーにとってはニュートラルな戦い方となってしまっていたのだろう。

 ここまでカゼミーロが中盤の守備を一手に担っていたため、クロースとモドリッチの中盤コンビは守備の役割が全く明確ではなく、フィルターを失ったマドリーの中盤はスカスカ。バルセロナの攻撃陣に自由を与え続けた。

 1点目の場面ではセルジ・ロベルトにピッチ中央でのドリブル突破を許し、2点目はイニエスタをフリーにして決定的なパスを通され、3点目の場面でもイニエスタを捉えきれず、4点目の場面ではメッシのパス止められなかった。

 こういった展開の中でマドリーのDFラインは高い位置を保てず、その一方で前線の4人は前がかりに。おそらく、本来のシステムはベイルをトップ下とする4-2-3-1だったはずだが、あまりに前がかりになりすぎるため4-4-2にも見えるほどいびつな陣形となってしまった。

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