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なぜロナウドは敵地で沈黙するのか。見失ったスタイル、その理由を示す2つのデータ

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

ボールタッチ最少。孤立したセンターFWロナウド

クリスティアーノ・ロナウド
クリスティアーノ・ロナウドが力を発揮できなかった理由とは【写真:Getty Images】

 しかし、レアル・マドリーが十分な力を発揮できなかった理由には、やはりクリスティアーノ・ロナウドの不発が挙げられる。この日、ロナウドは本来のウイングではなくセンターFWとして先発。シュート数はわずか4本で、特に後半の45分間ではシュート0本に終わるなど低調なプレーを続けていた。

 前節4得点のロナウドが、なぜシュートすら打てない状況に陥ったのか? まずは、センターFWというポジションでの起用法にある。センターFWでの先発自体はベンゼマ不在時には珍しいことではなく、CLローマ戦でも務めて1ゴールを決めている。

 それでも、やはりロナウドの適性ポジションはウイング。サイドのスペースからドリブルでロズムを作り、自らゴールまで運ぶことで得点を生み出すのが主なスタイルである。

 例えば、今季公式戦のシュートエリアを見ると、全252本中34%となる85本がペナルティエリア外からのもの。1試合平均にすると4.9本もエリア外から放っている。

 しかし、よりゴールに近くスペースのある位置でボールを受けにくいセンターFWでは同様のスタイルでのプレーは難しくなる。例えば、本来センターFWを務めているベンゼマのエリア外からのシュート率は14%。バルサのセンターFWスアレスは12%となっている。

 さらにラス・パルマスの戦術プラン。前述したように4-1-4-1のシステムで1トップがDFラインに、2列目の4人がマドリーの中盤にプレスをかけ、アンカーがカバーリングに回ることで前線に効果的なボールが渡るのを阻止していた。

 そのプランは上手く機能し、マドリーがボールを失った回数はラス・パルマスの9回を上回る11回。ロナウドのボールタッチ28回で、この試合で先発した22人中最少、交代出場したコバチッチの31回よりも少ない数字を記録するなど孤立してしまった。

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