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アジア 8年前

“日本人選手不毛の地”ベトナムでパイオニアになれるか。U-23代表・井手口陽介の兄・正昭の挑戦

text by 宇佐美淳 photo by Jun Usami

兄貴分的存在の井手口。現地での価値も徐々に上昇

 実はトライアウトでベトナムに来たJリーガーは何人かいる。しかし、いずれも契約には至らなかった。そのため、今回HAGLが獲得した井手口も当初は戦力として疑問視されていたが、開幕からここまで3試合連続フル出場。横浜FCに移籍したグエン・トゥアン・アインの穴を補ってあまりある大活躍を見せている。

 チームメイトやスタッフ、サポーターからの評価も上々だ。特に、現地の文化や生活に早く馴染もうとする積極的な姿勢に称賛の声があがっている。井手口は以前、香港でプレーしたこともあるため、その時の経験が役に立っているのかもしれない。平均年齢最年少(22歳)のチームにあって、若手から兄貴分として慕われている。

 第3節で対戦したタンクアンニンのファム・ニュー・トゥアン監督は、「今日は井手口に攻撃陣がうまく抑え込まれた。彼のプレースタイルは、HAGLにマッチしている。HAGLは良い補強をしたものだ」と述べ、敵将もその力を認めた。

 ここまでは、ボランチとして文句なしの出来。前線に張っている元水戸のオズマールが怪我から復帰すれば、攻撃の厚みが生まれ、上位進出を狙うことも可能だ。今季の井手口の活躍次第で、日本人選手のバリューが上昇するため、今後はもっと多くの日本人選手がベトナムでプレーするようになる日が来るかもしれない。

Vリーグ第3節までの井手口正昭の個人成績

タックル:23回
クリア:15回
空中戦勝利数:5回
ボール奪取率:83%
パス本数:84(成功77)
パス成功率:92%
ドリブル突破:5回
ショートパス:79回
ロングパス:5回
チャンスメイク:7回

(文:宇佐美淳)

【了】

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