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サントスFC、セビージャら4クラブが制裁対象に。FIFAが排除を進める、投資ファンドの影響力

text by 中山佑輔 photo by Getty Images

4クラブの違反は氷山の一角か

 TPOに関して、FIFAはFAQ(よくある質問)の書面をホームページ上にアップし、TPOがゲームにどう影響するかについて以下のように記述している。

「FIFAはTPOがフットボールとその根源的な価値に有害な影響を与えており、全体的にゲームの清廉さを損ねていると考えている。TPOの実践に関するこうしたネガティブな面は、国際的なフットボールコミュニティのメンバーにとって、深刻な問題として取り上げられてきた。したがって、FIFAはあらゆるステークホルダーの参加と関与を参照するプロセスを通じて、このトピックに取り組む責任を有する」

 このネガティブな面の一例をあげれば、クラブや選手以外の第三者、つまりは投資ファンドなどが選手の移籍に際して影響を及ぼすケースがあるだろう。

 投資ファンド等は選手が移籍した際に発生する移籍金によって投資の見返りを得ることができる。そうである以上、彼らが選手の移籍を促すことがあるのではないか、と考えるのは不自然なことではない。

 このような事情を踏まえ、FIFAはこのような立場を取るFIFAは「選手とゲームの清廉さ、および選手の移籍と雇用に関する決断を下すにあたってのクラブ独立性を守る」という理由から、移行期間を設けたうえで2015年5月1日よりTPOを禁止した。

 だが、昨年来サッカー界をにぎわせている“暴露サイト”「フットボール・リークス(FL)」が、現在もTPOによる取引が行われるとし、本来表に出るはずのない情報を暴露し続けている(彼らの主たる活動理由はTPOの告発だ)。そして今回のFIFAによる制裁によって、選手の具体名などは明かされていないものの、事実そうした取引が行われていることが認められた。

 今回制裁を受けた4クラブの違反は、氷山の一角なのだろうか。今後の展開が注目される。

(文:中山佑輔)

【了】

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