ジダンのカリスマ性に導かれたレアル。3冠挑戦へ必要な継続性
その1つが、第29節のバルセロナ戦、CL準決勝のマンチェスター・シティ戦、そしてアトレティコとのCLファイナルといった大一番で見せてきた、時にポゼッションへのこだわりやスペクタクルさを捨て、徹底的にリアリティに満ちた戦いを選択することであった。BBCにもハードワークを課す様は、”美しさ”とは程遠いものの、必ず勝利という結果を手にしてきた。
こうして、選手はもちろん、ファンやメディアも自然と味方につけてしまうジダンのカリスマ性に導かれるがまま、チームは結果を出しながら正の連鎖を描き続け、リーガでは優勝したバルセロナに勝ち点差1という2位まで追い上げた。さらにはCLを獲得というハッピーエンドを迎え、ジダンはモチベーターとしても超一流であることを証明した。
ジダン体制の存続を前提とした来季への展望だが、満を持しての3冠制覇へのチャレンジとなる。そのために必要なのは、変革よりも継続性だ。スタメンは軸が固まっており、今季のメンバーから大きく変える必要はなさそうだが、ターンオーバーを強固にするための補強は不可欠だ。
まず、リーガで34失点と、バルセロナの29失点、アトレティコの18失点という両チームと比べ見劣りするディフェンスの強化が急務だ。
長年ゴールマウスに君臨したイケル・カシージャスがポルトへと去り、マンチェスター・ユナイテッドのダビド・デ・ヘアの獲得に失敗し、開幕前に最も不安視されていたGKであったが、2年目のケイラー・ナバスがシーズンを経るにつれ存在感を増し、特にCLでは9試合のクリーンシートと抜群の安定感を見せ、完全に信頼を勝ち得た。控えのキコ・カシージャもリーガでの実績は十分で、デ・ヘア待望論は収まっている。
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