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EURO2016 8年前

ロナウド1人より“低価格”。わずか30億円のハンガリーと小国アイスランドが示したサッカーの本質

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

データで下回るもプラン通りの展開へ

 ところが、このグループFの6試合で繰り広げられた戦いは、データの正しさではなくピッチ上こそが全てという、ある意味ではサッカーの本質を示していた。

 まず、波乱ともいえる戦いの幕開けとなった第1戦において、ハンガリーは前評判の高かったオーストリアを相手に2-0と勝利。アイスランドは大本命ポルトガルに1-1。続く第2戦ではハンガリーとアイスランド、ポルトガルとオーストリアの2試合ともドローに終わった。

 現地時間22日に行われた最終節では、ハンガリーはポルトガルを相手に3-3。アイスランドはオーストリアを相手にアディショナルタイムの得点で2-1と勝利を手にした。

 まずハンガリー対ポルトガルの試合を振り返ると、ボールを支配したのはポルトガルだった。62.5%という支配率を記録し、13回のチャンスメイクでシュートは21本。17回の1対1を仕掛けて24本のクロスを上げている。

 対するハンガリーは37.5%の支配率でシュートは9本。仕掛けた1対1は9回でクロスは8本、チャンスメイクに至っては2回にとどまっていた。それでも、大きく力の上回る相手に対して3度のリードを奪い、勝ち点1を獲得した。

 敗戦が許されないポルトガルが立ち上がりから勝利に焦る姿を見せた一方で、突破を決めていたハンガリーはボールを持てなくても落ち着いたプレーを見せていた。

 もう1試合を見ると、アイスランドはオーストリアを相手に支配率33.1%:66.9%、チャンスメイク数9回:15回、クロス本数7本:37本、シュート本数11本:23本と多くの面で圧倒された。

 それでも48回もボールをクリアするなど、チーム全体が1つとなって懸命な守りを見せ、18分にはベズヴァルソンのゴールで先制。60分にはダビド・アラバのゴールで同点とされるも、勝利以外道のないオーストリアを前にアディショナルタイムにカウンターで抜け出したトラウスタソンが決勝点となるゴールを決めた。

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