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本田圭佑 8年前

本田、途中出場するも欠如していた攻撃の精度。アピールしたければ“違いを生む”プレーを

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

アピールしたければ攻撃での貢献を

 肝心なのは、たとえ少ない時間でも何をやろうとしたかだ。守備組織のバランスをきちんと保ちつつ、攻撃の流れを作ろうという努力は見えた。。41分、中盤で守備に入ったのち、深い位置からドリブルで突破してボールを運ぼうとする。プレスをかけられる中を粘り強くかく掻い潜ってパスを出したが、これは相手に引っかかった。

 42分にはチームが3-5-2に変更したため2トップの一角に上がり、43分には2トップを組んだニアンへワンタッチでパスを出そうとする。

 そしてアディショナルタイムには独力でシュートチャンスを作った。30メートルほどをドリブルで攻め上がり、マーカー2人を外して中央のクツカへクロス。クツカはボール処理に手間取りシュートを打てなかったが、近くに寄った本田はこぼれ球を拾い、エリア外から右足でシュートを狙う。もっとも利き足でない右で放たれたシュートは、精度なく大きくゴールの上方へそれた。

 前半、ボナベントゥーラは同様の距離から左足でミドルシュートを狙い、最終的には相手GKにセーブされたものの枠内へと収めている。違いを生み出せる選手は、不得意な状況でも決定的なプレーを繰り出してしまうものだ。

 無茶を言うようではあるが、ワンプレーでゴールを脅かすことができるというアピールをしたければ、右足とはいえやはり枠に収めて欲しかったところである。

 ともあれ、チームはリードを守って勝利した。得点に絡んでいるわけでもないし、出場時間を考えれば勝利に関与したとは言えないかもしれない。だが出された以上は全力を出し、攻撃的プレーヤーならば出来る限りボールを前に運び、体を張ることが重要である。本田にとって今は我慢の時だが、チームへのこうした貢献を積み重ねていく他はない。

(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

【了】

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