フットボールチャンネル

PSG失速という“異常事態”。非難の矛先にはエメリ新監督。ベン・アルファ起用法への猜疑

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

CLで5試合ぶりにメンバー入りするも負傷欠場

 しかしエメリは違う。あくまで自分の哲学に合った選手を求める。練習中にドリブルを多用するベン・アルファにエメリは、「君はメッシじゃないんだぞ。君は一人でゲームを変えられるような選手ではない」と言い放ったというが、ピュエルはそのエメリの方針について次のように語り、懸念をのぞかせる。

「それぞれの監督に自分のやり方がある。彼をうまく扱うには、ある種の手法が必要だ。それがPSGでも可能かどうか……。ベン・アルファには、イブラと似た様な反抗心、気性がある。よって、彼を使いこなすには、彼を中心にチームを作り、彼を最適なコンディションに置いておく必要がある。でなければ、彼の才能を使いこなすことなく終わってしまうこともありうる」

 実際、絶滅危惧種のこのファンタジスタがここで潰れる可能性も大いにある。連日、この件に関してメディアにはいろいろな関係者のコメントが登場しているが、その中の一人、リヨン時代のチームメイト、元フランス代表のシドニー・ゴブーはレキップ紙に寄せたインタビューでベン・アルファを鼓舞した。

「プレーしたいなら、とにかく一生懸命努力して、自分がパストーレやルーカス、ディ・マリアよりも上なんだと認めさせるしかない。エメリは確固とした哲学をもつ監督で、彼がそれを変えることはおそらくないが、最高のコンディションにある選手を使わない指揮官は存在しない」

 その言葉が本人の耳に届いたかのように、28日のチャンピオンズリーグ第2節、対ルドゴレッツ戦でベン・アルファは5試合ぶりにメンバー入りを果たした。だが練習中にふくらはぎを痛め、無念の欠場となってしまった。本人はプレーできると言い張ったらしいが、結局はメディカルスタッフの判断に従うことになった。

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top