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レ・コン・ビン、31歳にして会長に就任。ベトナムの英雄の挑戦。札幌で学んだ「プロフェッショナル」

text by 宇佐美淳 photo by Getty Images

レ・コン・ビンが誇る驚異的な動員効果

レ・コン・ビン
現役引退後も驚異的な動員効果は誇るレ・コン・ビン【写真:Getty Images】

 開幕戦となったクアンナムFC戦では、レ・コン・ビン会長自らチケット売り場に立って、サポーターにチケットと記念Tシャツを手渡した。その効果もあってか、開幕戦は7000人以上の観客を動員。昨シーズンの2部リーグで優勝を決めた試合の観客動員数が2000人程度だったことを考えると、驚異的な観客動員数と言える。

 レ・コン・ビン会長は、これまでの取材の中でたびたび“プロフェッショナル”という言葉を口にしてきた。レ・コン・ビンが選手として数々の偉業を成し得た理由が、彼がベトナムで最もプロ意識の高いプレーヤーだったからであるということは、ファンもアンチも含めて全員が一致している意見だ。レ・コン・ビン会長はプロ意識の大切さについて、札幌時代に多くのことを学んだという。

 レ・コン・ビン会長は筆者の取材に対し、「4か月プレーした札幌は素晴らしいクラブで、会長から選手、スタッフまでがまるで一つの家族のように一致団結していました。それぞれがプロとして高い意識をもって、与えられた仕事に取り組み、共通の目標に向かって団結していたんです。おかげで選手はサッカーだけに集中することが出来ました。

 サポーターも非常に熱心で、あんな大声援を受けた記憶は後にも先にもありません。スタジアムやクラブハウス、移動手段など、あらゆる面がプロでした。そして、選手たちは自分の仕事に誇りを持ち、決して不正など働かない。HCMCが目指すのは、そんなプロフェッショナルなクラブです。」と語った。

 初参戦となるVリーグ2017シーズンの目標は1部残留。開幕戦ではリーグ中堅のクアンナムFCとドロー。昨年のカップ戦王者タン・クアンニンとの対決となった第2節では終盤までスコアレスで粘ったものの、最後に力尽きて0-2で初黒星。

 続く第3節のサイゴンダービーでは、1-0で勝利して記念すべき1部リーグ初白星を挙げた。出だしはまずます。チケットの売れ行きも依然好調だが、旧正月明けには上位陣との連戦が待っている。HCMCと新米会長レ・コン・ビンの挑戦はこれからも続く。

(取材・文:宇佐美淳【ホーチミン】)

【了】

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