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本田圭佑 7年前

本田のFK弾に歓喜したミラン。全選手が作った輪。3年半の集大成で残した爪痕

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

戦術的合理性があった本田投入

 当然、モンテッラ監督は修正に入る。まず第一段階は、中盤で攻守の切り替えが素早くできるマティアス・フェルナンデスの投入。そしてその次は、デウロフェウを前線に上げた上で本田を投入することだった。「彼はプロだ。(EL出場権を得るという意味で)シーズンの中でも重要な瞬間を迎えていたが、彼ならやってくれると思っていた」モンテッラ監督は試合後、誇らしげに閃きの良さを強調していた。

 もっとも今まで長いこと本田を起用してこなかった人間が、シーズンの大事な瞬間に突然起用を思い立つものだろうか? ただそれはヤマ勘などではなく、戦術的な合理性を踏まえての決断だったのだろう。本田でなければならなかった理由は見て取れた。

 まずはスソが出場停止で、前線のつながりがなかったことが一つ。もう一つは、分断気味だった中盤の守備を安定させるために4-4-1-1へとシステムを変更する必要上、本田が必要となったということ。サイドハーフとしてスペースを埋めながら、攻撃にも絡むというタスクの両立ができる選手は、ベンチ入りメンバーの中では本田以外にはいなかった。

 シニシャ・ミハイロビッチ監督下では重宝されたが、4-3-3を基本システムとするモンテッラ監督下の戦術では居場所がなかったサイドハーフとしての役割。それがこの土壇場で、システム変更とともに必要とされたということだ。

 そして本田は、ミハイロビッチ時代のプレーさながら、サイドで実直なプレーを展開した。投入されて直後のプレーでは、折り返しを阻止されてサン・シーロのファンに悲鳴ともブーイングともつかない微妙な声を上げられている。しかしその後は、中にも外にも絞ってルーズボールを拾い、パスを堅実につないだ。相手から厳しくプレスを掛けられる中、タフに耐えていた様子からはコンディションの良さも伺えた。

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