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マンU、EL優勝逃がせば未来は暗く。モウ「失敗の証」撤回し死ぬ気で勝利を【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

ユナイテッドにはEL優勝が必要。決勝はクラブの未来予想図を左右する難関に

マンチェスター・ユナイテッド
ユナイテッドは今季のプレミアリーグを6位で終え、CL出場権獲得にはEL優勝が必須に【写真:Getty Images】

 しかも、デイビッド・モイーズとルイ・ファン・ハールの失敗により、ユナイテッドのプライオリティはただでさえ低下している。サー・アレックス・ファーガソンが27年にわたって築いたブランドイメージを、無策なスコットランド人とマニアックすぎるオランダ人がわずか3年で壊したため、ビッグネームの足がすっかり遠のいてしまった。

 大物エージェントのジョルジュ・メンデス、ミーノ・ライオラと太いパイプを持つユナイテッドであっても、チャンピオンズリーグの出場権という餌がない限り、スター選手の獲得は難しい。今シーズンのズラタン・イブラヒモビッチ、ポール・ポグバは特例だ。

 もちろん、チャンピオンズリーグの出場権獲得がすべてではない。とくに来シーズン終了後はワールドカップが控えている。定位置争いが激しいマンチェスター・シティやチェルシーを避け、クラブ内の競争力に劣るユナイテッドを代表チームに招集されるためのアピールの場として利用する者も現れるはずだ。

 また、スター選手が獲得できない場合は、マーカス・ラッシュフォード、アレックス・ツアンゼベをはじめとする若手に数多くのチャンスが与えられるだろう。この流れは「バズビー・ベイブス」、「ファギーズ・フレッジリングス」に続くオリジナルブランドの台頭を意味し、地元サポーターにとっては待望の展開だ。

 しかし、その間にチェルシー、シティ、さらにトッテナム・ホットスパーが現有勢力に磨きをかけ、なおかつ戦力を拡充していった場合、オーナーのグレイザー・ファミリーは辛抱できるだろうか。ましてモウリーニョ監督は、若手の指導に一抹の不安がある。

 やはり、チャンピオンズリーグの出場権が必要だ。右ひざの十字靭帯を痛めているイブラヒモビッチが使えず、プレミアリーグ最終節から中二日の強行スケジュールであっても、なりふり構わずヨーロッパリーグを獲りに行かなくてはならない。決勝のアヤックス・アムスルダム戦は、ユナイテッドの未来予想図を左右する難関だ。

(文:粕谷秀樹)

【了】

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