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代表 7年前

“崖っぷち”韓国、W杯かけ決戦へ。「失言騒動」で世論は冷やか。プレーオフ逃す可能性も

text by キム・ドンヒョン photo by Getty Images

“失言”に韓国内では批判的な声。ムードは冷やかに

ホームでのイラン戦はドロー。ウズベキスタンに敗れれば予選敗退となる可能性も出てきた
ホームでのイラン戦はドロー。ウズベキスタンに敗れれば予選敗退となる可能性も出てきた【写真:Getty Images】

 確かにこの日は6万3千人以上の観客がつめかけていたが、イラン人を除くすべての人が韓国を応援しに来ていた。韓国の9大会連続W杯出場というミッションを成し遂げてほしいと後押しすべくスタジアムに訪れたファンがほとんどだった。

 だが、キム・ヨングォンの一言で応援ムードは急速に冷え切った。試合後はもちろん彼の失言を責めるファンの意見が殺到した。しかも彼はゲームキャプテンだった。もし本当にプレーに支障が出ていたとしても、キャプテンとしては不適切な発言であった。

 9月1日、ウズベキスタンへの出国前に当のキム・ヨングォンは「悪い意味で言ったことではない」と釈明したが、韓国内の世論は批判的なものであり、「応援しない」という人すら出てきているほどムードが冷やかになってしまったのは確かだ。

 そうした状況にある韓国代表チームだが、ウズベキスタン・タシュケントに入り、試合に向けて練習を予定通り行っている。シン・テヨン監督も現場で行われた記者会見で「勝利以外はない」と意気込むなど勝利への意志を示した。

 ケガ明けでイラン戦に欠場したキ・ソンヨン(スウォンジー)もトレーニングには参加、試合出場の可能性が高まっているという。失言で大騒ぎしたキム・ヨングォンも、「誤解があった。彼は出場する」とサポートを惜しまないシン・テヨン監督のもと、出場が確約されている。

 ファン・ヒチャン(ザルツブルク)がワントップを務めたイラン戦とは違い、長身FWのキム・シヌクや韓国Kリーグで10本のアシストを記録している“クロスマスター”ヨム・ギフン(水原三星)の出場も取り沙汰されているが、シン・テヨン監督はイラン戦のときと同様、トレーニングを一切公開していない。勝利へ向けた意思が感じられるが、それはウズベキスタンも一緒で、彼らは泊っているホテルも非公開にしているという。

 韓国にとっても、ウズベキスタンにとっても、史上まれに見る決戦になるに違いない。1986年からスタートした韓国のW杯出場連続記録がここで止められるか、それともアジア最多の9大会連続出場と記録を継続することができるか。タシュケントの奇跡そして悲劇はこの1試合で決まる。

(文:キム・ドンヒョン)

【了】

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