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森岡亮太の類い稀な「理解力」。名門アンデルレヒト移籍、進化するファンタジスタの頭の中

text by 中田徹 photo by Getty Images

4試合目でついに覚醒。新たなスタイルも身につけ…

 たった3試合。しかし、すでに2試合目のオーステンデ戦が終わった頃には、ベルギーメディアが森岡への疑念を記事にし始めていた。アンデルレヒトのプレッシャーは凄まじい。

「僕にはもう少し時間が必要」とベルギーメディアに語ったように、森岡自身もビッグクラブへの順応に時間がかかりそうなことを認めていた。

 ところが、新天地での4試合目となる25日のムスクロン戦でスタメン復帰を果たした森岡は26分と後半アディショナルタイムにゴールを決める大活躍を見せた。チームも5-3で6試合ぶりの勝利を飾った。

 45分には森岡が敵陣ペナルティエリア内で倒されてPKを獲得、57分には森岡のスルーパスを受けたケニー・サイーフのクロスからウカシュ・テオドルチュクがゴールを決めた。つまり、アンデルレヒトが奪った5ゴールのうち4ゴールに森岡が絡んでいたのだ。

 アンデルレヒトで苦しんでいた森岡がいきなり覚醒したのは、彼の「理解する力」によるところが大きいのではないだろうか。

 ファンタジスタ系のトップ下である森岡は半年前、自らの武器を「味方を、GKと1対1にするスルーパス」と語ってくれた。確かに、ベフェレン時代の森岡は見ていて気持ちが良くなるほど、スルーパスを通しまくっていた。

 しかし、アンデルレヒトでは相手が完全に引いてしまうので、森岡本人にもチームメートにもスペースがなく、思うようにチャンスを創造できない。さらに得意のスルーパスを繰り出そうにも、森岡が前を向いてボールを持った瞬間、相手のディフェンスラインはすぐに下がってスルーパスのスペースを消してしまうのだという。

 そんな悩める森岡に、ハイン・ファンハーゼブルック監督は「ベフェレン時代のようにボールを持った状態からチャンスを作るのではなく、森岡がフリーランニングすることで相手との『1対1』の状況を作り、そこで味方からのパスを貰え」と新しいスタイルでのプレーを促した。

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