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メッシら「個の力」を輝かせるバルサ後方部隊。「時間」と「空間」を創造する貢献度

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

チャンスの供給源。見逃せない後方部隊の貢献度

 徐々に守備ブロックが後方へと下がっていったビルバオに対し、バルセロナは猛攻を仕掛けた。ボールを奪われた後の即時奪回も機能し、29分には絶好調のメッシがペナルティエリア手前からシュートを決め追加点を得た。

 パスをつなぐことに関しては世界最高峰のバルセロナに対して、ビルバオの2トップ、サビン・メリーノとラウール・ガルシアがハイプレスの最前線を担うのは難しかった。よって後半に入ると、ハイプレス時は2ボランチの1人を上げ、相手のアンカーへのマークにつかせる戦い方にシフトした。

 マンツーマンの要素が強くなったことにより、後方でボールをフリーで受けられる選手がGKのマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンのみとなったバルセロナ。そこからのロングボールは相手にカットされ、何度かショートカウンターの危険にさらされた。46分に左サイドのイニゴ・レクエがテア・シュテーゲンからのボールをカットしシュートに繋げた場面は象徴的であった。

 それでもバルセロナは、セルジ・ロベルトがウスマン・デンベレとのコンビネーションを使って右サイドを突破するなど個の力でプレスをかいくぐるシーンを何度か見せた。それを得点につなげることはできなかったものの、ディフェンス陣が相手の攻撃をしのいだこともあり最終的に2-0で勝利を収めることができた。

 強力な攻撃陣にボールを受けさせないような前線からのハイプレスという戦術を選んだビルバオだったが、バルセロナは真っ向からそれに挑み、見事な崩しにつなげて見せた。メッシやルイス・スアレスの個人の成績に注目が集まりがちだが、今回のビルバオ戦は彼らにできるだけいい形でボールを供給しようと努める後方部隊の貢献度が改めて証明された試合だったのではないだろうか。

(文:長坂祐樹)

【了】

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