イニエスタが達人たる所以。無駄も無理もなし、常に導き出す最適解【西部の目】

一つひとつのプレーが全てチームのためになる。バルセロナとスペイン代表をけん引するアンドレス・イニエスタはそんな稀有な選手だ。必要なものを過不足なく備える彼は、サッカーで最も難しいことを実践し続けている。(文:西部謙司)

2018年03月20日(Tue)10時20分配信

シリーズ:西部の目
text by 西部謙司 photo Getty Images
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イニエスタ=フットボール

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あえて言うならイニエスタはフットボールそのものである【写真:Getty Images】

 アンドレス・イニエスタ――今さら多くを語るまでもない偉大なプレーヤーだが、あえて言うならイニエスタはフットボールそのものである。

 リオネル・メッシが天才ならイニエスタは達人だと思う。過剰なものがなく足りないものもない。相手のタックルをぎりぎりでかわし、ピンポイントのパスを出し、バックパスすべきときは何の躊躇もなくボールを下げる。

 無理もなければ無駄もない。思うがままにプレーして、それが全部チームのためになる。素晴らしい選手でも、自分の特徴を出そうとして自滅してしまうことがあるが、イニエスタにそれはほとんどない。かといって、とくに自重している感じもない。その判断や一挙手一投がサッカーと矛盾しないのだ。

 無駄がないのは相手が見えているからだ。狭い場所でパスを受け、敵がボールを奪おうと寄せてくるとき、イニエスタは全く動じていない。敵の動きが見えているので、最小限の動きでかわせる。

 驚かされるのは、相手が動いているならまだしも、動こうとしている瞬間さえ見逃さないことだ。これはおそらく視覚よりも感覚に近く、見えているというより感じるのではないかと思う。

【次ページ】「見えてしまう」域

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