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プレミアはなぜ移籍市場閉幕を早めたのか? そこに潜む重大なデメリットとチェルシーが犯した過ち

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

チェルシーのGK問題

 これには賛否両論、様々な意見があるが英紙『ザ・サン』によれば、プレミアリーグ所属全20クラブのうち14クラブがこの変更に賛成の声を挙げ、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティの2クラブはどうやら反対したという。

 新シーズンに向けた準備が定まりやすいというメリットは明らかにある。前述した通り、シーズン途中の選手加入や放出によってチームのプラン変更を余儀なくされることは、どんなに優秀な監督であっても難しいはずだ。中堅クラブからしても、シーズン途中に主力選手が国内のライバルクラブに引き抜かれる可能性というのがなくなった点は大きいのかもしれない。

 アーセナルやリバプールのように新シーズンへの準備期間を長く確保するため、補強に向けた動き出しを早くすれば選手を引き抜かれたクラブ側も後釜を探す期間が十分設けられる。メリットはやはりこういった部分だろう。

 しかし、最後の最後まで選手の去就が決まらない場合は極めて難しい判断を強いられる。例えばチェルシーはデメリットの波に飲まれたのではないだろうか。

 ロシアワールドカップ閉幕後から噂されていたティボー・クルトワのレアル・マドリー移籍。交渉は順調に進んでいるかに思えたが、最終日までもつれ込む形となった。結果的にはスペイン代表GKケパ・アリサバラガの獲得を決めたが、リーグ開幕まで2日と迫った状況でチームに加入し、すぐさま試合に挑むには準備期間が足りない。しかし、クルトワを放出し、後釜が見つからなかった場合はウィリー・カバジェロかロバート・グリーンがゴールマウスを守ることになっていただけに、今回のケパ獲得はひとまず安心という形にはなった。

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