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プレミアはなぜ移籍市場閉幕を早めたのか? そこに潜む重大なデメリットとチェルシーが犯した過ち

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

スムーズな交渉は必須に?

ティボー・クルトワ
ティボー・クルトワの放出は何とか決まった。が、代役の確保には100億円を超える資金を費やしたチェルシー【写真:Getty Images】

 仮に、今回クルトワが土壇場でクラブ残留を決めていたとしても、ハイパフォーマンスを披露できるかどうかという点には少々疑問が残る。アーセナルやリバプールのような早めの補強を行うことができず、最後の最後まで交渉が難航し、おまけに移籍希望の選手を残留させてしまうようなになってしまった場合はクラブ、そして選手にとっても最悪な状況に置かれてしまうのだ。

 昨季も似たようなケースがあった。リバプールに所属していたフィリッペ・コウチーニョはバルセロナ移籍を希望したが、夏に新天地へ移ることはできなかった。その後の同選手に目立った活躍はなく、結局同年の冬にバルセロナへと旅立った。

 ジエゴ・コスタも、昨シーズン開幕前に移籍を熱望したが叶わず。シーズン途中にはアントニオ・コンテ監督から戦力外通告を受けるなど散々な時期を過ごしていた(その後アトレティコ・マドリーへ移籍)。

 そのためプレミアリーグやセリエAのクラブからすれば、今後はスムーズな交渉というのは必須になってくるはずだ。それに伴い放出する側が高額な移籍金を要求してきたとしても、準備期間を長く確保したい場合はその要求にも応じなければならないというケースも増えてくることが予想される。今回のチェルシーはまさしくそれであり、ローマからリバプールへ移籍したアリソンの移籍金6680万ポンド(約98億4000万円)という金額を超える7100万ポンド(約102億円)で何とかケパを獲得することができた。

 シーズンが始まってみなければわからないが、このスペイン代表GKは100億円という大金を払うに値したのか。今後、チェルシーのように交渉の難航を強いられたクラブは巨額な移籍金を払わざるを得なくなり、同時に移籍市場で動く金額が莫大に膨れ上がるかもしれない。

 今後、リーガ・エスパニョーラやブンデスリーガといったリーグが同じような変更を行えば、より平等な移籍市場を築けるようになるとは思うが…。

(文:小澤祐作)

【了】

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