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今日イラン戦、韓国紙「崖っぷちの試合」。負けたら敗退…勝っても“茨の道”

text by 編集部 photo by Getty Images

韓国代表
韓国代表【写真:Getty Images】

 アジア大会2018男子サッカーのグループリーグで2位通過を果たしたU-23韓国代表は現地時間23日にU-23イラン代表と対戦する。ここからは決勝トーナメントになるため、負ければ即敗退だ。

 韓国紙『朝鮮日報』はタイトルに「崖っぷちの試合」とつけて報じている。U-23イラン代表には2020年の東京オリンピックを意識して、21歳以下の選手も多く参加している。それでも同紙は「韓国とは異なり、組織的な面での強さがある」と警戒。さらにスタジアムの荒れた芝生の状態も懸念している。イラン戦に勝利し順調に勝ち上がったとしても、ウズベキスタンやベトナムなどと当たる可能性があり、兵役免除までの道のりは“茨の道”だ。

 韓国代表にとっては、アジア大会はただの国際大会ではない。トッテナムに所属する26歳のソン・フンミンにとっては兵役免除のラストチャンスとなる。韓国籍の19歳から32歳の男性は、約2年間の兵役に就かねばならない。年齢だけ見れば26歳のソン・フンミンにとって大きな問題でないように思えるが、サッカー選手となれば事情は全く異なる。韓国軍には国内のプロリーグ(Kリーグ)に参戦しているクラブがあり、そこでプレーするためには27歳までに入隊しなければならないのである。

 しかも、軍隊クラブでプレーするためには、入隊の前年、つまり26歳の年は必ずKリーグでプレーしていなければならない。もちろん一般の部隊に入隊する道もあるが、そうなるとサッカー選手としての未来は絶たれてしまう。となれば、いかに兵役免除を勝ち取るかがカギになる。

 兵役免除の条件はいくつかある。まずは2011年に受けた膝の軟骨除去手術の影響で兵役を免除されたGKキム・ジンヒョン(現セレッソ大阪)のように入隊前の身体検査で不適格と診断されるような大きな怪我を負う、もしくは負っていたか。

 もう1つは、27歳で10年間のモナコ居住権を手にしたFWパク・チュヨンのように、海外に住みながら永住権を獲得したり、帰化して国籍を変更したりすることで、入隊を最大限に延期する方法もある。労働ビザではなく永住権を持って海外に滞在したまま36歳を超えると入隊の年齢制限に引っかかるため、兵役は自動免除となる。

 だが、これらの手段はソン・フンミンにとって現実的とは言えない。やはり最後に残り、最も現実的な兵役免除の方法は国際大会における好成績なのである。オリンピックではメダル獲得、アジア大会では優勝が条件になる。2002年日韓ワールドカップの韓国代表メンバーは4位入賞で兵役免除となったが、アジアカップではどんな成績を残そうと兵役は免除されない。

 軍隊クラブでプレーするために入隊前年をKリーグで過ごさねばならないことを考えると、ソン・フンミンが兵役を回避するためのラストチャンスは、アジア大会にオーバーエイジ選手として出場しての金メダル獲得ということになるのだ。

【了】

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