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チェルシーの無駄遣い、半端ないって! FIFAが掲げる「ローン移籍の上限」とビッグクラブの問題点【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

ローン移籍の繰り返しが引き起こす悲劇

 FIFAが提案する上限6~8名が決まれば、チェルシーは30人以上の経費が浮く。その分をなんらかの形でサポーターに還元するとか、不当な週給で辛抱する選手に補てんするとか、いくつかのプラス材料が検討できる。金銭面では少なくとも好転する公算が大きい。チェルシーの経済力は認めるものの、《季節ごとの断捨離》はチームを健全な形で維持するうえで絶対に必要だ。

 来年1月、ギャリー・ケイヒルとダニー・ドリンクウォーターは、出場機会を求めて移籍を前提に動くはずだ。市場価格は前者が1350万ポンド(約19億円)、後者は1800万ポンド(約25億円)。交渉先の提示が満足する額ではなかったとしても、多少は譲歩してビジネスを進めるべきだろう。これ以上、ローンによる出費は避けたい。

 それにしても無駄遣いが過ぎる。ただ、いまに始まったことではなく、4シーズン前にジョシュ・マクィークラン、ガエル・カクタ、マルコ・マリンなど、26人の選手がローン移籍した当時、市場総額は1億ポンド(2014年のレートで170億円!)を超えるともいわれていた。しかもだれひとりとして成功していない。カネの使い方が間違っている。

 さらに、ローンを繰り返せば環境の変化に戸惑い、そのたびに監督が代わるとゲームプランも一からやり直しだ。まして選手の個性と正反対の指導者と出会ってしまった場合、プレーするチャンスがローン先でも失われる。すべてが悪循環だ。

 期待されたナサニエル・チャロバーは、ワトフォード→ノッティンガム→ミドルズブラ→バーンリー→レディング→ナポリと渡り歩いたのち、昨シーズンからワトフォードに復帰。それでも6試合にしか出場できず、今シーズンも4節のトッテナム戦に86分から出場しただけだ。

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