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チェルシーの無駄遣い、半端ないって! FIFAが掲げる「ローン移籍の上限」とビッグクラブの問題点【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

最も懸念すべきはロフタス=チーク

ルベン・ロフタス=チーク
チェルシーに所属するルベン・ロフタス=チーク【写真:Getty Images】

 いま、最も懸念すべきはルベン・ロフタス=チークだ。サッリ監督は「使い勝手のいい選手」と評価しているが、現時点では序列が低い。ジョルジーニョ、エンゴロ・カンテ、マテオ・コバチッチ、セスク・ファブレガス、ロス・バークリーに次ぐ、中盤3センターでは最下層だ。

 昨シーズンはクリスタルパレスにローン移籍後、ブレイク。イングランド代表にまで登りつめたものの、今シーズンは1節のハダースフィールド戦、4節のボーンマス戦に途中出場しただけで、ベンチにすら入れない日々が続いている。この冬、ロフタス=チークは身の振り方を真剣に検討すべきだ。

 元来、ローン移籍の目的は、ビッグクラブの若手に経験を積ませる→中小のクラブは経済的な負担もなく補強できる、だったはずだ。しかしいま、ローン先で苦しみ、ローンバックしても居場所がなく、いつの間にか表舞台から消えていく選手が増えてきた。もちろん、選手の資質にも問題はあるのだろうが、ローンの人数が多すぎると細かい部分には目が届かなくなる。

 代表のアンダーカテゴリーが結果を出しているため、イングランドでは育成を含めたローンがさして問題視されていない。ビッグクラブでレギュラーはおろか、トップチームに帯同するイングランド人の若手が少ないにもかかわらず、だ。

 いや、イングランドだけの問題ではない。イタリアではユベントスが25人のローン(FOX SPORTSの調査)を抱え、ポルトガルのSLベンフィカ、FCポルトはその数が不明とすらいわれている。

 ローンの人数が不明とは、あまりにも管理が杜撰だ。有望な若手に先行投資する→高く売る、がビジネスモデルとして評価された時代は終わった。倫理的な欠陥に注視する必要がある。

 いま、FIFAはローン制度の改定を急ぎ、早ければ2019年夏から実施しようとしている。チェルシーをはじめ、数多くのローン選手抱えているクラブは、対応を急がなくてはならない。未成年の保護(青田買いの制限)、代理人の規制、育成したクラブに対する正当な支払いなども含め、フットボール界全体が喫緊に解決すべきテーマである。

(文:粕谷秀樹)

【了】

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