フットボールチャンネル

チェルシーの完璧な「策」、それに屈しなかったマンU。90分間に詰められた濃密な内容

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

試合は荒れ模様のまま終了したが…

プレミアリーグ
試合は荒れ模様の中、終了したが…【写真:Getty Images】

 後半AT、右サイドのアスピリクエタからファーサイドのD・ルイスへクロスボールが入る。背番号30は力強いヘディングシュートを放つと、これがポストに当たり、ボールはリュディガーの下へ。ドイツ代表DFの放ったシュートを一度はダビド・デ・ヘアがセーブするも、再びこぼれたボールを今度は途中出場のロス・バークリーが押し込み、土壇場で同点に追いついた。

 アスピリクエタがファーサイドへクロスを送ったことは大正解だった。D・ルイスと対峙していたのはA・ヤング。身長差は明らかであり、余程のことがない限り、競り負けるなんてことはあり得なかった。ミスマッチだ。

 また、背番号30の前には身長192cmのクリス・スモーリングがいたが、同選手は下がりながらの競り合いだったため、本来の高さを活かすことはできなかったのである。マンUは、ミスマッチで痛恨の同点ゴールを許す形になった。

 劇的同点ゴールが生まれた瞬間、チェルシーのアシスタントコーチであるマルコ・イアンニ氏がジョゼ・モウリーニョの下へ駆けていき、何らかの言葉を発した。それに激昂したモウリーニョ監督が警備員やチェルシースタッフに止められるシーンがあり、ピッチ内でも両チームの選手同士で言い争いが起きるなど、試合は荒れ模様の中終了した。

 試合後のスタンフォード・ブリッジでは「ファックオフ・モウリーニョ」のチャントが鳴り響くなど、あまり良い雰囲気ではなかったはずだ。

 それでも試合自体は美しかった。サッリ監督の用いた「策」を見事に的中させたチェルシー、序盤は苦戦するも、それに屈しなかったマンU。両者が繰り広げた90分間の中には、濃密な内容が詰まっていた。2-2というスコアは、相応しかったのかもしれない。

(文:小澤祐作)

【了】

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top