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アジア 5年前

“黄金世代”ベトナム、スズキカップ制覇で視線はアジア杯へ。栄光までの軌跡を辿る

text by 宇佐美淳 photo by Getty Images

不気味なフィリピンを退け鬼門突破

 2018年の締め括りとなったスズキカップは、ベトナムが最も重要視する国際大会。ベトナムは、グループリーグ初戦で格下ラオスに敵地で3-0の快勝を収めると、ホーム開幕戦となった2戦目では、強敵マレーシアに2-0の勝利。

 続く3戦目は、こちらも3年前のU-20ワールドカップに初出場するなど躍進著しいミャンマーと敵地でスコアレスドロー。4戦目は、本田圭佑GM兼実質監督の就任で話題となったカンボジアをホームで迎え撃ち、これを3-0で一蹴。グループ1位で準決勝に駒を進めた。

 特筆すべきは、ロシア出身のGKダン・バン・ラムを中心とした鉄壁の守備で、この時点で大会唯一の無失点をキープ。

 快進撃で国中が盛り上がる中、ベトナム代表を率いる韓国人指揮官のパク・ハンソは、常に冷静沈着だった。歴史を紐解いてみれば、ベトナムにとっての鬼門が、まさに準決勝であることが分かる。

 前回大会のインドネシアとの対戦では、規定の2試合を終えても決着がつかず延長戦の末に惜敗、日本人指揮官の三浦俊也監督が率いた前々回大会では、1stレグで先勝しながらも2ndレグで守備が崩壊して、2大会連続でベスト4敗退を喫している。パク監督は記者会見で報道陣に対し、過去の教訓を思い出すよう再三忠告しており、楽観視することはできないと述べていた。

 今大会の準決勝の相手はフィリピン代表。通称の“アスカルズ”は、タガログ語で雑種の野犬を意味するが、実際のチームも海外出身の混血選手でスタメンを固めており、東南アジアでも異色のチームと言える。

 大会直前、指揮官に名将エリクソン監督が就任したことで、ダークホースとして注目を集めていた存在だった。ベトナムは、この不気味なフィリピン相手に、まずは敵地での1st レグで2-1の勝利。大きなアドバンテージを得て臨んだホームでの2ndレグも2-1で勝ち切り、10年ぶりの決勝進出を果たした。

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