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連鎖する投獄と不審死。免れたのは「プーチンのメッセンジャー」、アブラモヴィッチただ1人【億万長者クラブの真実(5)】

text by ジェームズ・モンタギュー photo by Getty Images

密命を受けたアブラモヴィッチ

ロマン・アブラモヴィッチ
チェルシーのロマン・アブラモヴィッチ会長【写真:Getty Images】

 ベレゾフスキーは、尋問のために呼び出される前に既にフランスへ脱出。後にイギリスで政治亡命を求めるようになる。逆にアブラモヴィッチはプーチンにさらにすり寄り、密命を受けてベレゾフスキーと交渉するようにさえなった。

 事実、彼はパリの郊外にあるル・ブルジェ空港に飛び、ベレゾフスキーと面会している。その目的は、ロシアに残っている株式をすべて売り払えと説得することだった。プーチンを批判する番組を放送したテレビ局、ORTを含めてである。

 ちなみに2人の会話の詳細な内容は、2011年に明らかになっている。結局、ORTは1億5000万ドルで売却されることになるが、イギリスではベレゾフスキー対アブラモヴィッチという、史上最大規模の民事訴訟が行われたからだ。

 裁判では、パリの空港で交わされた会話を書き起こした、詳細な資料も提出されている。

 この会話は、ベレゾフスキーのビジネスパートナー、ジョージア人のオリガルヒであるバドリ・パタルカツィシビリが録音していたもので、アブラモヴィチがプーチンの歓心を買おうと躍起になっていた様子がうかがえる。ベレゾフスキーは次のように証言した。

「アブラモヴィッチは、当初から『自分はメッセンジャーだ』『国がORTをコントロールするために、同意をとりつけにきた』と述べた。彼は他の目的があるような素振りさえしなかった」

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