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えっベイル? お引き取り願おう。マンUに戻ったファーガソンのDNA。スールシャールなら大丈夫【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

高まるモチベーション。選手との距離感は抜群

 スールシャール体制発足以降、公式戦は14勝2分2敗。文句なし、いやいや望外の好成績である。一時は絶望的といわれたチャンピオンズリーグの出場権獲得は現実味を強く帯び、チャンピオンズリーグではパリ・サンジェルマンにホームで0-2の敗北を喫しながら、敵地で3-1の大逆転。アウェイゴールの差でベスト8に進出した。

しかもアンデル・エレーラ、ファン・マタ、アントニー・マルシャル、ネマニャ・マティッチ、ジェシー・リンガードを負傷で欠き、ポール・ポグバが出場停止だったにもかかわらず、だ。

「逆転が難しいってことは承知している。でも、我々はマンチェスター・ユナイテッドなんだよ」

 このひと言に選手が奮い立ったという。スールシャールの前向きな発言に刺激され、パーフェクトな仕事をやってのけた。

 もしジョゼ・モウリーニョだったら、「プレミアリーグに専念するしかない」とあきらめ、モチベーションの低下を招いていたに違いない。ルイ・ファンハールは難解な戦術論を繰り返し、デイビッド・モイーズは意味不明な珍答の連続。やはり、スールシャールの登用は正解だった。

 チャンピオンズリーグの一件に限らず、スールシャールは選手を批判せず、積極的に言葉をかけている。では、ここでロメル・ルカクの証言に耳を傾けてみよう。

「監督はいつも気にかけてくれる。イージーミスをしても、あまり気にするな。次、頼むぞってね。それから体重が落ちなくて苦労していたときも、ウェートコントロールは焦ると台無しになる。スタッフと入念に話し合い、状況を逐一報告してくれ。待っているし、期待しているよ、ともいってくれた」

 サー・アレックス・ファーガソン退任後の3監督は選手との間に壁を作っていたが、スールシャールは距離感が抜群だ。この一体感はパフォーマンスに直結し、オールド・トラッフォードのノイズもフラストレーションの比率が低くなってきた。アレクシス・サンチェスの負傷(今シーズン絶望とも……)は気になるが、ユナイテッドは万全に近い形で最終盤に突入していく。

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