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リバプールに舞い込んだ奇跡的な勝利。立役者は誰? 強力3トップにプラスされた第4の矢

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

功を奏したトッテナムのシステム変更

 前半はトッテナムに良いところを出させなかったリバプール。後半も同様の試合運びが求められたが、ペースは次第にアウェイチームへと傾く。

 前半から存在感を目立たせていたエリクセンがより高い位置にポジショニングすることにより、攻撃にリズムが生まれた。リバプールは、このデンマーク人MFを完璧に捕まえることができず。そのため、そこからより多くのチャンスを与えてしまったのだ。事実、同選手はこの試合で両チームトップとなる5本もの決定的なパスを出している。

 その勢いを加速させようと、トッテナムは69分に動く。ダビンソン・サンチェスを下げ、ソン・フンミンを投入。システムも3バックから4バックへと変更した。

 そしてこの交代のわずか1分後だった。ケインが敵陣中央でファウルを受けると、すぐさま立ち上がり素早いリスタートで右サイドのキーラン・トリッピアーに長いパスを送る。同選手はペナルティエリアにボールを落とすと、待っていたエリクセンが再びボールを流す。これをモウラが押し込み、同点に追いついた。

 リバプールとしては痛恨の失点。ペースは完全にアウェイチームへと傾いており、状況は最悪だった。同チームはヘンダーソンに代えディボック・オリギ、ミルナーに代えファビーニョをピッチに送り出すなど反撃に出るが、トッテナムの守備は堅く、なかなか崩すことができない。

 反対に、カウンターからあわや2失点目という場面も作られた。85分、ムサ・シソコが中央を抜け出し、横をソン・フンミンが並走。対してリバプールはファン・ダイク1人のみとなっており、2対1の状況に。しかし、背番号4の絶妙な守備が光り、決定的なピンチを免れることに成功した。

 だが、トッテナムが逆転しそうな勢いを維持しているなかで生まれたのがあの90分の劇的な勝ち越し弾だ。アウェイチームからすれば、まさに「あと一歩」というところでの失点だった。

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