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コパより地元クラブの練習試合!? 全国中継で見た盛り上がり、ブラジルサッカー文化の奥深さ【コパ・アメリカ】

text by 編集部 photo by Wataru Funaki

ブラジル
アウェイのスタジアムでビッグフラッグを広げようとするコリンチャンスのサポーターたち【写真:舩木渉】

 今、ブラジルでは南米の頂点を決めるコパ・アメリカ2019(南米選手権)が開催されている。

 しかし、対戦カードによっては巨大なスタジアムに1万人を切るわずかな観客しか集まらなかったこともあった。そんな中で、テレビ中継されていたある試合に目を奪われた。

 それは現地29日の夜に行われたボタフォゴSP対コリンチャンスの親善試合だ。前者はブラジル全国選手権2部で、後者は全国的な人気を誇るブラジル屈指の強豪である。今回はボタフォゴSPの本拠地エスタディオ・サンタ・クルスの改装が完了したことを記念するこけら落とし試合として行われた。

 いわばシーズン中の“練習試合”に近いものだが、コパ・アメリカと同じ放送局で全国中継されていた。中継には公式戦と遜色ない数のカメラが用意され、テンションの高い実況もピッチレポーターもいる。さらにボタフォゴSPの本拠地エスタディオ・サンタ・クルスには両クラブのサポーターが数多く詰めかけていた。

 アウェイにもかかわらずコリンチャンスのサポーターはビッグフラッグまで展開。試合のテンションも公式戦さながらで、もちろん選手たちも本気である。

 事前の地元の報道ではボタフォゴSPの主将ジュリオ・セーザルの「親善試合にもリーグ戦と同じように臨む。サッカーに冗談はない。コリンチャンスとの親善試合は僕たちのチームとしての強さを示し、リーグ戦の再開に向けてより自信をもたらすのに役立つだろう。素晴らしいゲームにしたい」というコメントが紹介されていた。

 その言葉を証明するように、試合は格下のボタフォゴSPが終盤に勝ち越しゴールを奪って2-1でコリンチャンスを破った。

 街中を歩いていてもコパ・アメリカの盛り上がりを感じることはほとんどないが、まさか地元クラブの練習試合が生中継され、その人気ぶりを目の当たりにするとは。試合前には29日に行われたコパ・アメリカやFIFA女子ワールドカップの試合の総括のみならず、フラメンゴが練習場で行った練習試合も映像付きでレポートしており、元ブラジル代表のジエゴが記者会見に臨んだ様子も放送されていた。

 また、この試合では女性が副審を務めていた。ファブリーニ・ベヴィラカ・コスタさんは現在32歳で、ブラジル全国選手権も含めトップレベルの試合でも副審を担当しているという。リーグ中断期間中の親善試合の中継や、その雰囲気、担当副審、番組の構成などからブラジルのサッカー文化の奥深さと幅広さを存分に感じることができた。

(取材・文:舩木渉【ブラジル】)

【了】

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