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ブラジル代表、チッチ監督とマルキーニョスが大統領を無視。会場は国家元首に大ブーイング【コパ・アメリカ】

text by 編集部 photo by Getty Images

ジャイロ・ボルソナロ
ジャイル・ボルソナロ大統領【写真:Getty Images】

 コパ・アメリカ2019(南米選手権)は現地7日に決勝が行われ、ペルー代表を3-1で下したブラジル代表が12年ぶり9度目の優勝を成し遂げた。

 歓喜に沸いていたスタンドから、表彰式開始前に大ブーイングが飛ぶ一幕があった。非難の対象となっていたのは、表彰式のプレゼンターの1人として登場したジャイル・ボルソナロ大統領だ。

 極右的な政治思想を持ち、“ブラジルのトランプ”とも呼ばれるボルソナロ大統領は、就任半年で急速に国民からの支持を失っている。内閣支持率は6月の調査で32%と低迷し、SNS上では「#elennão(彼にノー)」というハッシュタグを用いた意思表示も盛んに。とりわけ経済政策への批判は強まっている。

 街中ではボルソナロ政権の経済政策に反発するデモが行なわれていることもあった。サッカーの聖地マラカナン・スタジアムに集まった観客からの反発も凄まじく、ブーイングの音量は試合中よりも大きいと感じるほどだった。

 また、ブラジル代表の面々もボルソナロ大統領不支持を態度で示した。表彰式でチッチ監督は大統領からメダルを受け取りながら、特段反応することなく通り過ぎようとした。その後、大統領はなんとかチッチ監督をつかんで引き寄せたが、指揮官は頭を下げてすぐに歩き去ろうとした。

 その様子は中継映像にも捉えられており、隣のブラジルサッカー連盟のロジェリオ・カボシオ会長と交わした熱い抱擁とキスとは対照的だった。また、DFマルキーニョスは大統領を無視して通り過ぎていった。

 トロフィーを掲げた後の記念撮影では、ボルソナロ大統領がブラジル代表チームの中心に陣取ろうとすると再び観客から容赦ない大ブーイングが浴びせられた。ホームでの優勝ムードの中、自国の大統領だけが歪な存在として、その空気に馴染めていなかったのは間違いない。

(取材・文:舩木渉【ブラジル】)

【了】

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