グリーズマン、そのプレースタイルと能力値、ポジションは? 魔法の左足を持つ前線の何でも屋【注目選手分析(1)】

リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを始め、世界各国には際立った存在感を放つ名手が数多く存在している。そんなワールドクラスのプレイヤーは、一体どのようなスキルを持ち、どのような特徴を発揮しているのか。そのプレースタイルを解説する。第1回はフランス代表FWのアントワーヌ・グリーズマン。(文:編集部)

2019年08月08日(Thu)10時00分配信

シリーズ:注目選手分析
text by 編集部 photo Getty Images
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苦悩の連続だった幼少期

アントワーヌ・グリーズマン
今夏にアトレティコ・マドリーからバルセロナへ移籍したFWアントワーヌ・グリーズマン【写真:Getty Images】

 今夏におよそ1億2000万ユーロ(約146億円)という移籍金でバルセロナに加入したフランス代表FWのアントワーヌ・グリーズマン。長くアトレティコ・マドリーでプレーし、昨年行われたロシアワールドカップではレ・ブルーの優勝に大きく貢献したレフティーは、すでに世界中からその才能を認められているワールドクラスのプレイヤーだ。その市場価値は1億3000万ユーロ(約153億円 ※『transfermarkt』を参照)。現在のサッカー界を牽引する選手といっても過言ではないだろう。

 1991年3月21日、フランス・ブルゴーニュ地域圏マコンでグリーズマンは誕生した。母方の祖父であるアマロ・ロペス氏はポルトガルで活躍していた元プロサッカー選手であり、その影響で幼少期から常にフットボールが傍にいたのである。

 ただ、決して最初からすべてがうまくいったわけではなかった。リヨンのファンであったグリーズマンは同クラブの下部組織に入団するためにトライアウトを受けたが、不合格。もちろんトライアウトを受けたのはリヨンだけではない。サンテティエンヌやオセールの下部組織入団も試みたが、すべて「合格」の二文字を手に入れることができなかった。不合格となった理由は、体格。身長が低く、細身だった同選手は「プロ入りが難しい」と判断されたのである。幼少期のグリーズマンに待っていたのは、苦悩の日々だったのだ。

 だが、そんなグリーズマンの才能を見出したクラブがあった。レアル・ソシエダはある大会に出場していたレフティーの姿を見て、トライアウトに参加させることを決断したのである。

 こうして異国の地でまったく新しい冒険をスタートさせたグリーズマン。後のスター選手は見事トライアウトでその才能を評価され、ユースチームとの契約を勝ち取った。その後もBチームで活躍した同選手は、2009/10シーズンにプロデビューを果たす。当時クラブは2部に所属していたが、リーグ戦では39試合で6得点をマークするなど早くもレギュラーに定着したのである。

 その後もソシエダでメキメキと力を付けた同選手は2013/14シーズンにリーグ戦35試合で16得点4アシストの成績を収めるなど大爆発。2014年に行われたブラジルワールドカップでは負傷離脱したフランク・リベリの代役として、ゴールこそなかったが大舞台で活躍してみせた。

 その後、同選手をアトレティコが獲得。同クラブでは言わずと知れた印象的なパフォーマンスを披露し、チャンピオンズリーグ(CL)決勝進出やリーグとヨーロッパリーグ(EL)制覇などにエースとして大きく貢献した。結果、アトレティコで5年間を過ごした同選手は公式戦257試合の出場で134得点50アシストという成績を残している。名将ディエゴ・シメオネ監督も「私にとって彼は世界最高の選手」と手放しで称賛。幼少期に苦しい日々を送ったグリーズマンは、世界を代表する選手へと変貌を遂げたのである。

そのプレースタイルは?

アントワーヌ・グリーズマン
アントワーヌ・グリーズマンの能力値や適性ポジションなど【写真:Getty Images】

 そんなグリーズマンはまさに前線の“何でも屋”だ。決定力が極めて高く、得点パターンが豊富。身長176cm、体重73kgと大柄なタイプではないが、左足から放たれるシュートは抜群のパンチ力を誇っており、ゴールから離れた位置からでも正確に枠を捉えることができる。

 また、相手DFを翻弄するテクニックも持ち合わせている。左右両足を巧みに使いこなすことで抜群のキープ力を発揮し、マークしてくる選手を引き付けてから味方へ決定的なパスを送る。その精度も極めて高い。過去3シーズン、グリーズマンは公式戦で10アシスト以上を続けて叩き出している。そのあたりからも、同選手の味方を使う上手さ、パスの正確さが滲み出ていると言えるだろう。セットプレーのキッカーを務めることも多い。

 アトレティコではCFとして使われることがほとんど。だが、試合の中ではセカンドトップのような役割を果たしており、前線に張り続けるというよりかは相手のボランチとCBの間のスペースを突くトップ下のような働きを見せることが多い。一方フランス代表では正式なトップ下で起用されることがほとんどで、ロシアワールドカップでも同ポジションでプレー。ドリブルの技術も高いため、サイドで起用しても面白いのだが、やはり中央の方が同選手の特長は発揮されやすい。

 裏へ抜けるスピードとタイミングも抜群で、とくにアトレティコではジエゴ・コスタとの相性は申し分なかった。味方を生かし、味方に生かされる能力が高いグリーズマンはまさに状況に応じて別の顔を見せることができる選手なのだ。

 また、アトレティコではシメオネ監督の下、守備意識の高さも身に付けた。決してディフェンスがうまいわけではないが、前線から果敢にプレスを与えにいくことを厭わず、危険と見れば身体を投げ出してボールを刈ることもできる。昨季のリーガ・エスパニョーラでは計31回のタックルを繰り出したグリーズマン。これはFWの選手としてはリーグで5番目に多い数字となっているなど、守備面での貢献度は明らかだ。

 今夏に移籍したバルセロナではサイドでの起用が濃厚。ソシエダ時代にはウィングを務めていたため、そこに対する違和感はないだろう。ただ、しばらく中央を主戦場としていたグリーズマンにしてみれば、ある意味で新境地と言えるかもしれない。ソシエダ時代はアシストでチームに貢献できる選手であったが、今はそこに得点力が加わっている。そうした部分をいかにして発揮しながらサイドでの役割を果たすのか。そこは注目ポイントになるだろう。

(文:編集部)

【了】

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