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中島翔哉は「監督の大きな怒りの標的になった」。定位置確保への道は険しく?

text by 編集部 photo by Getty Images

中島翔哉
ポルトに所属する日本代表MF中島翔哉【写真:Getty Images】

「昨日の試合は中島にとって特別な味だっただろう。何よりもポルティマンへの帰還だったのだから」

 現地16日付のポルトガル紙『レコード』は、こんな一文で始まる記事を紙面に掲載した。見出しは「セルジオ、中島への怒り」とシンプルである。前日に行われたポルトガル1部の第5節、ポルトタイポルティモネンセの試合後の一場面のことを、大きく取り上げている。

 中島は古巣ポルティモネンセとの一戦に、72分から途中出場した。しかし、そこまで圧倒的な試合運びで2-0のリードを得ていたポルトは、突如崩壊。74分、77分と立て続けにゴールを奪われて同点に追いつかれてしまった。

 77分の安西幸輝のミドルシュートが決まる直前の局面で中島は、味方の連動が不十分な段階でフリーの相手GKにプレッシャーをかけに行き、ゴール前への戻りも遅れた。全力のスプリントではなく、カウンターを受けている状況でゆっくり戻っていたことも、多くのメディアで過ちだったと指摘されている。

 試合後にはセルジオ・コンセイソン監督の怒りが爆発した。ピッチ上で中島を呼び止め、一度は通り過ぎようとしたのを再び引き止めて、厳しい口調で怒鳴りつけたのである。異変に気づいた周りの選手たちが止めに入るほどの怒りようだった。

『レコード』紙はこの場面を克明に記録している。

「試合終了のホイッスルの後、彼(中島)はセルジオ・コンセイソンからの大きな怒りの標的となった。最初はピッチの中央へ向かい、残っていた青と白の選手たちの中にいた日本人を引いたように見えた後、監督は平静を失った。中島の後についていき、いくつかの指導をした。温かい言葉だ。この状況は青と白の選手たちの中に集中的なテンションの高まりを生み、オタヴィオとヘスス・コロナがコンセイソン監督を止めに入り、鎮まるよう訴えた後に落ち着いた」

 セルジオ・コンセイソン監督は試合後、記者から中島との間に何があったのか問われると「我々の間の会話だ」と内容を明かさず、煙に巻いた。守備面の不足への叱責だったのか、あるいは中島が監督に対して示した態度への指摘だったのか詳細はわからないままだ。

 ただ、中島がチーム内でうまく機能しきれていないことは事実としてある。結果的にチームは劇的な勝利を収めたが、古巣の本拠地への帰還の後味は中島にとって決して甘くはなく、むしろ苦いものだっただろう。

 この一件で監督からの信頼を完全に失ったか、あるいは日々のトレーニングの中で改善を見せて再びチャンスを与えられるのか。日本代表の10番は早くも正念場に立たされている。

【了】

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