中島翔哉は再び競争の渦の中へ。ライバルが見せた決定的な働き、求められるはゴールのみ

ヨーロッパリーグ(EL)のグループリーグ第3節が現地24日に行われ、ポルトはホームでレンジャーズと1-1のドローに終わった。MF中島翔哉は後半途中からの出場となったがノーインパクト。一方でポルトにおけるポジション争いのライバルが鮮烈な輝きを放った。(取材・文:舩木渉【ポルトガル】)

2019年10月25日(Fri)12時47分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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ルイス・ディアスが放つ輝き

ルイス・ディアス
ポルトの左サイドで躍動するFWルイス・ディアス【写真:Getty Images】

 ようやく一歩前に出かけても、すぐに引き戻される。日本代表MF中島翔哉は、ポルトガルの名門ポルトでチーム内競争の真っ只中に身を置いている。左サイドの定位置をめぐる争いはチーム内随一の厳しさだ。

 ライバルとなるのはコロンビア代表FWルイス・ディアス。中島と同じく今夏の新加入選手だった22歳は、スピードとテクニックを駆使したドリブルの推進力で攻撃に彩りを添えるだけでなく、ハードワークで守備面においても貢献度が高い。その重要性は現地24日に行われたヨーロッパリーグ(EL)のグループリーグ第3節、レンジャーズ戦でも証明された。

 中島とルイス・ディアスのどちらが先発起用されるか注目された一戦で、セルジオ・コンセイソン監督は後者を選んだ。先週末19日の国内カップ戦で2ゴールを挙げて好調ぶりをアピールしていたコロンビア人に賭けた形だ。

「ターンオーバーは好きではない」と語る指揮官は、代表ウィーク明けの格下3部クラブ相手の一戦にルイス・ディアスを起用すると、22歳のウィンガーは見事な2ゴールで期待に答えて見せた。この活躍を評価してのELでの継続起用になんら不自然なところはない。

 代表ウィーク前には公式戦3試合連続で中島に先発の座を奪われた。これで背番号10の日本代表が左サイドの競争において一歩前に出たかと思われたが、ルイス・ディアスも負けじと食らいついて結果を残す。まさにデッドヒートが続いている。

 レンジャーズ戦でもルイス・ディアスは試合の流れを変える決定的な活躍を披露した。

 前半は序盤からずっと堅い展開が続いていた。アウェイに乗り込んできたレンジャーズは先に失点しないようリスクを嫌い、一方のポルトは約20日ぶりに組むメンバーで手堅くシンプルな攻めに終始する。特に代表ウィーク前最後の試合でフェイエノールトに完敗を喫していたポルトの面々は、いつも以上に慎重な入りをしているように見えた。

いつまでも改善されないポルトの課題

 そんな中、流れを一変させたのがルイス・ディアスだった。36分、敵陣内深くで縦パスをカットすると、左からカットインして右足を振り抜く。フェイントで相手DFのタイミングをずらして放った強烈なロングシュートが、ほぼまっすぐの弾道でペナルティエリアを斜めに切り裂き、ゴールの左上角に突き刺さった。紛れもないスーパーゴールだった。

 この1点でレンジャーズにも火がついた。スティーブン・ジェラード監督率いるスコットランドの雄は、縦に速い攻撃でポルト守備陣を焦らせる。そして44分、左サイドで相手の背後を取ってフリーになったDFボルナ・バリシッチがGKとDFの間を通る低い弾道のクロスをあげると、ファーサイドに走り込んでいたコロンビア代表FWアルフレド・モレーロスが同点ゴールをねじ込んだ。

 レンジャーズはアーリークロスへの対応の際に、ポルトの守備陣の足が一瞬止まるのを見抜いていたのかもしれない。前半、再三再四カウンターからのアーリークロスでゴール前でのチャンスを生み出していた。

 結局、両チームともこれ以上ゴールが生まれることはなかったが、後半はレンジャーズが主導権を握ってポルトを脅かした。少しでも歯車がずれていたら、ポルトは負けていてもおかしくなかった。

 今季のチームがずっと課題として抱えている、後半の強度の低下は相変わらず改善されていない。ポルトはどうしても後半になると、50分前後からチーム全体の活動量が低下して組織としての強度を保てなくなってしまう。そこから相手にチャンスを量産されるのは、もはやお決まりの展開になりつつあり、今後も改善が進まなければもっと痛い目に遭ってもおかしくはないだろう。

 中島には63分から出場機会が与えられた。ちょうど流れが悪くなり始め、コンセイソン監督が60分にMFオターヴィオに代えてMFブルーノ・コスタを投入して手を打ち始めたところだった。とはいえ1人ないし2人の交代だけで、チーム全体の強度を引き上げるのは難しい。

中島翔哉がポジションを掴むには?

中島翔哉
MF中島翔哉がポルトで確固たる地位を築くには…【写真:Getty Images】

 背番号10の日本人は左サイドでどうにか状況を打開しようと奮闘した。ただ、オフ・ザ・ボール時の動きがバリエーションに乏しく、なかなか味方との呼吸が合わないまま、欲しいタイミングでボールを受けられない時間帯が続いた。

 例えば右サイドにボールがある際、中島は左から斜め方向に走ってパスを要求するが、直線的にボールホルダーに近づく動きをするため、マークを引き連れた状況でどんどん狭いスペースへと入り込んでしまい結局攻撃が詰まってしまうという状況が何度か見られた。

 レンジャーズもポルトの攻撃を警戒して中央の守備に人数を割いているため、ゴール前には選手の渋滞が起きる。それに対してコンセイソン監督は崩れかけたチーム全体のバランスを修正し、有効な打開策を提示できたとは言えなかった。

 ホームで勝ち点3を逃したことは、今後時間とともにじわじわと痛みになって実感がともなっていくかもしれない。直近の公式戦2試合で3得点とわかりやすく結果を残して質の高いパフォーマンスを披露したルイス・ディアスの好調は、レンジャーズ戦における数少ない希望か。

 中島にとっては、再び先発の座を掴むためのアピールが必要になるだろう。代表ウィークによる中断前に与えられた3試合ではノーゴールに終わっていたが、ライバルがゴールでチームに貢献しているなら、今まさに求められるのは「ゴール」という結果に他ならない。

 今季の中島が公式戦で残している成績は、国内カップ戦での1アシストのみ。今夏の加入以降、まだゴールがない。一方、ルイス・ディアスはすでに公式戦5ゴール3アシストと、際立った数字を記録している。

 常に勝利が求められるビッグクラブにおいて、評価される材料は何よりも「数字」だ。中島がポルトの10番としての地位を確固たるものにし、勝利に貢献するにはゴールこそが必要なのである。ルイス・ディアスが2試合連続で先発の機会を与えられたように、もし1つでもゴールが決まれば、状況が一気に好転することだってありえない話ではない。

(取材・文:舩木渉【ポルトガル】)

【了】

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