バルセロナに一体何が起こったのか? まさかの1-3完敗の理由。悪夢の7分間と疑問残る采配

リーガ・エスパニョーラ第12節、レバンテ対バルセロナが現地時間2日に行われ、3-1でホームチームが勝利を収めている。公式戦7連勝中と勢いに乗っていたバルセロナであったが、この日はレバンテの勢いに飲まれ完敗を喫した。さらに、3失点を許したのはわずか7分間のことである。一体、何が起きたのだろうか。(文:小澤祐作)

2019年11月03日(Sun)12時00分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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バルセロナは今季リーグ戦3敗目

バルセロナ
バルセロナは敵地でレバンテに1-3で敗れた【写真:Getty Images】

 公式戦7連勝中と勢いに乗っていたバルセロナであったが、この日のゲームはまさに「完敗」といった内容だった。現地時間2日に行われたリーガ・エスパニョーラ第12節、レバンテ戦。バルセロナは、前半のうちに先制に成功するものの、後半立て続けに3失点を許し、敵地で今季リーグ戦3敗目を喫する結果となった。

「チームにとても満足している。素晴らしいチームだ」

 クラブ公式サイトによると、試合後にこう話していたというのはレバンテを率いるパコ・ロペス監督。この日のレバンテは90分間攻守にアグレッシブで、バルセロナに偶然勝ったという印象はなく、勝つべくして勝っていた。チーム全体として、多くの部分でバルセロナを上回っていたと言えるだろう。

 さて、今季のリーグ戦における最多失点を喫したバルセロナであるが、結果はもちろんのこと、内容面でも大きな不安が残る試合となった。

 エスネスト・バルベルデ監督はこの試合で4-3-3のフォーメーションを採用。前線にはFWリオネル・メッシ、FWルイス・スアレス、FWアントワーヌ・グリーズマンが並び、その後ろをMFアルトゥーロ・ビダル、MFアルトゥール、MFフレンキー・デ・ヨングで形成する。最終ラインには負傷明けのDFセルジ・ロベルトが右サイドバックに入り、左サイドバックにDFネウソン・セメド。2CBはDFジェラール・ピケとDFクレマン・ラングレである。

 バルセロナは戦前の予想通り、立ち上がりからボールを保持する。メッシ、グリーズマンらの関係性が良くなってきた中で、前線の動きを繰り返しながらレバンテに生まれる綻びを突こうとする。パスのテンポは決してスムーズとは言えなかったが、相手にストレスを与える意味でも、ボールを保持する時間が長いことは悪くはなかった。

 レバンテも4-4-2のブロックを崩さずよく耐えていた。ただ、守備の対応は曖昧であった。ハイプレスに行くのか、引いて守るのかの境界線が定まっていない感があり、ところどころマークやラインがバラバラになっていたシーンが見受けられる。カウンターからチャンスを生み出す場面もあったが、前半はそれほどポジティブな要素を作り出せなかったのだ。

躍動するデ・ヨング

フレンキー・デ・ヨング
アンカーとして躍動していたフレンキー・デ・ヨング【写真:Getty Images】

 ただ、バルセロナも4-4-2のブロックを崩すことに手を焼いていたのは事実。肝心な場面でのボールロストが目立ち、なかなかゴール前まで運べない。アタッキングサードまで侵入しても、手詰まり状態になるとバックパスで組み立て直す。この繰り返しだった。

 中盤で起用されたビダルは、レバンテのカウンター対策という意味で起用されたのだろうが、攻撃面では存在感をなくしており、ダイナミックなプレーも影を潜めていた。スアレスもボールに触れる機会が少なく、メッシとグリーズマンの距離感も微妙。レバンテの守備陣はそれほど整っていた印象はなかったが、どうにも攻撃の最適解を見つけ出せずにいたのだ。

 そんな状況でも、わずか1本のパスで流れを引き寄せた人物がいた。フレンキー・デ・ヨングである。

 アンカーで起用された同選手は、常に首を振りながら周りの状況を確認。自分と味方の距離、相手との距離を冷静に確かめ、ボールを持つのかパスを散らすのかの判断を一瞬で行う。ドリブルで前に運べるのであれば、果敢に空いているスペースへの侵入を図る。中盤底で大きく躍動していたのだ。

 さらにデ・ヨングはメッシらが下りてくる2列目のエリアを的確に使う。相手の人数が揃っており、パスを通せるスペースは限りなく狭かったが、お構いなしにパスをポンポンと通した。

 人数が集まっているエリアにパスを通すということは、それなりにボールを失うリスクも大きくなる。ただ、通れば一気に複数人を置き去りにできる利点もある。デ・ヨングは前者よりも後者を優先し、常にそこを意識していたのだ。

 30分には、センターサークルの位置から相手選手2人の間にパスを通し、メッシのドリブルが開始。最後はグリーズマンが決定機を作るなど、デ・ヨングのパスはチャンスシーンに絡み続けた。恐らくこの試合で唯一、パスで可能性を感じさせた選手だ。それほど、デ・ヨングのパスは的確で素晴らしいものがあった。

 バルセロナは、38分にセメドがペナルティエリア内で倒されPKを獲得。これをメッシが冷静に沈め、ようやく1点のリードを奪った。前半はこのまま1-0で終了。決して順調ではなかったバルセロナだが、1点リードで45分間を終わらせることができたのは、非常に大きなことだった。

 しかし、悪夢の始まりはここからだった。バルセロナに待っていたのは、地獄の45分間であった。

レバンテが見せた修正力と勢い

 クラブ公式サイトによると、パコ・ロペス監督は前半の出来に満足せず、ロッカールームで「もっとアグレッシブに」とチームに指示を送ったことを明らかにしている。前半、少し曖昧となっていた守備の部分を改善しようとしたのだ。そしてレバンテは、指揮官の言葉通りに後半はより大胆にバルセロナに対抗したのである。

 それが功を奏した場面が60分。レバンテは前線から猛烈なプレッシャーを与えると、バルセロナのビルドアップを阻止する。たまらずボールを蹴ったピケだが、MFネマニャ・ラドヤがこれを拾い、FWボルハ・マジョラルの下へボールが収まると、最後は上がってきたMFホセ・カンパーニャへパス。これを背番号24が冷静に沈め、同点に追いついたのだ。

 これで勢いに乗ったレバンテは、さらにバルセロナに襲い掛かる。プレスの強度はより増し、相手に対してスムーズなボール回しを許さない。ミスを誘発し、うまくカウンターに繋げる戦い方を完璧に行っていた。

 バルセロナはレバンテの勢いに完全に飲まれてしまい、中途半端なプレーが目立つようになる。選手間の距離がバラバラで、危険なエリアを作ってしまう。そこを突かれたのが同点弾からわずか2分後の62分。カンパーニャからマジョラルに鋭い縦パスが入り、そのままゴールが決まった。ピケとラングレの間、アンカーのデ・ヨングと2CBの距離感ともに曖昧で、マジョラルは完全フリーな状態となっていた。レバンテは枠内シュート2本で2点。もう、その勢いを誰も止めることができなかった。

 67分にはFKのこぼれ球をラドヤがダイレクトボレー。これがMFセルヒオ・ブスケッツに当たりボールへ吸い込まれるなど、バルセロナは3失点目。1点目から3点目を許すまで、わずか7分間の出来事であった。

 恐れず前に出てきたレバンテの脅威に、バルセロナは耐えることができなかった。3失点目は不運な結果となったが、1、2失点目は自分たちでボールを失い、わずか1本のパスで崩され、やられている。パコ・ロペス監督の修正力、そしてそれを体現したレバンテのイレブン。勝負はここで決まった。

 一方でバルベルデ監督は、FWカルレス・ペレスやMFアンス・ファティら若手選手を途中から起用したが、状況は好転せず。ゲームの中でグリーズマンとメッシの2トップにも変更したが、変えるべきはそこだったのかどうか疑問が残る。MFイバン・ラキティッチらを起用し、中盤の強度を増した方が、レバンテにとって厄介だったのではないだろうか。過ぎたことは仕方ないが、このあたりの采配には疑問が残る。

 1-3というショッキングな敗戦を喫したバルセロナ。現地時間5日にはチャンピオンズリーグ(CL)・グループリーグ第4節のスラヴィア・プラハ戦が待っているが、今回の負けを引きずらず、勝利を手繰り寄せることができるか。

(文:小澤祐作)

【了】

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