マンUはもう限界。ウィークポイントが存在し続ける始末、スールシャールの未来は暗い

プレミアリーグ第14節、マンチェスター・ユナイテッド対アストン・ビラが現地時間1日に行われ、2-2のドローに終わっている。ユナイテッドはこれでリーグ戦9試合連続失点という屈辱。スールシャール監督の未来は暗い。(文:小澤祐作)

2019年12月02日(Mon)11時54分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
Tags: , , , , , , ,

勢いに飲み込まれたユナイテッド

マンチェスター・ユナイテッド
マンチェスター・ユナイテッドはホームでアストン・ビラと2-2のドロー【写真:Getty Images】

 アストン・ビラも、そこまで良いチームであったとは言い難い。やはり要所要所で脆さは見受けられたし、ペースを握りながらもそれを最後まで生かし切れないというのは、今季もすでに何回か見られている。やはり上位陣とはまだまだ差があると言っていいだろう。

 しかし、そんな下位に沈むチームにホームで勝つことができなかったのがマンチェスター・ユナイテッド。同クラブも壊滅的状況にある。来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得を狙うユナイテッドだが、リーグ戦14試合を終えた時点で4位・チェルシーとの勝ち点差は「8」。目標達成への希望は薄い。

 ヨーロッパリーグ(EL)・グループリーグ第5節のアスタナ戦では主力を温存させたユナイテッド(なお結果は1-2で敗北)。FWマーカス・ラッシュフォードやDFハリー・マグワイアといった選手に十分な休息を取らせ、ほぼ万全な状態でアストン・ビラ戦に挑んでいた。

 しかし、ユナイテッドは立ち上がりからアウェイチームに押し込まれる。中盤での競り合いにことごとく敗れ、最も支配されてはいけないエリアを的確に突かれてしまう。最終ラインは完全に押し込まれ、カウンターすら決まらない。主力温存の効果は、どこにも見られなかった。

 ユナイテッドはその勢いに飲み込まれ、11分に先制点を許す。左サイドでボールを持ったMFジャック・グレイリッシュに見事なコントロールシュートを決められたのである。アストン・ビラの勢いは確かに凄かったが、それにまんまと飲み込まれてしまうあたりが、今のユナイテッドの悲惨さを表していた。

 その後もユナイテッドはアストン・ビラを前に苦戦。スタートは左サイドながら、試合の中では自由に動き回る攻撃の核・グレイリッシュを捕まえきることができず、守備陣がことごとく後手に回る。攻撃ではトップ下で先発したMFファン・マタがオフ・ザ・ボールの動きで何度か相手守備陣を攻略しようとしていたが、ボールが収まる回数は限られた。イングランド代表入りを果たしたDFタイロン・ミングスの的確なカバーリングにも手を焼き、停滞していた。

 アストン・ビラの守備は相手陣内深い位置までであればそれほど強いプレッシャーを与えない。しかし、サイドにボールが流れ、使えるスペースが限られると、一気にギアを上げてボールホルダーを複数人で囲んでボールを奪取。この守備を徹底して行っていた。よってラッシュフォードやFWダニエル・ジェームズら、サイドの選手はあまり持ち味を発揮できず。このあたりの狙いは、ユナイテッドにとって効果的であった。

一時逆転も勝てない…

 こうして前半からペースを握られたユナイテッドだったが、42分にショートコーナーの流れからGKトム・ヒートンのオウンゴールを誘発し、なんとか同点に追いついて45分間を終えることに成功した。劣勢を強いられている中で奪ったこの1点は、誰の目から見ても大きな得点であった。

 しかしユナイテッドは前半、支配率60%とアストン・ビラを上回ったものの、シュート数は4本。これはアウェイチームの5本を下回る数字だ。ボールを保持していた、というよりは持たされていたという言い方が正しいだろう。

 1-1のまま迎えた後半は、前半と一転してユナイテッドがペースを握る。アストン・ビラは疲労の影響もあったのか、プレスの強度が明らかに弱まり、相手の攻撃を勢いづかせてしまった。当然、アストン・ビラは守備に追われるため、相手陣内に侵入する回数も減った。セカンドボールもことごとく回収されるなど、いつ逆転されてもおかしくはない状況を作り出してしまったのだ。

 ユナイテッドは攻撃時に多くの人数を高い位置に集め、「押せ押せ」と言わんばかりの勢いで相手守備陣に襲い掛かった。62分の場面では左SBのDFブランドン・ウィリアムスが絡んだボールのこぼれ球をMFフレッジが拾い、反対サイドのDFアーロン・ワン=ビサカへ繋ぎフィニッシュまで持っていった。両サイドバックも、もはやウィングのような位置でプレーしていたのである。

 そのワン=ビサカのシュートにより得たCKから、ユナイテッドはDFヴィクトル・リンデロフが待望の逆転弾をマーク。今度はその勢いを“生かした”。前半とは真逆の展開に、この時点で勝利を確信した人も多かったのではないか。

 しかし、だ。ユナイテッドは逆転弾からわずか2分後にオフサイドラインギリギリを抜け出したミングスにボレーシュートを叩き込まれ、あっという間に同点に追いつかれた。ゴールシーンを振り返ると守備ラインはバラバラで、ユナイテッドの悪い部分が露呈。勢いはすぐに消えた。

 ホームで勝ち星を逃すわけにはいかないユナイテッドは、後半途中にMFジェシー・リンガードとFWメイソン・グリーンウッドなどを入れるが、正直に言ってパッとしない。彼らが残された時間で決定的な仕事を果たせるかどうかは疑問を抱くところ。ただ、彼ら以外に人がいないのも事実。ユナイテッドの苦しい台所事情が見受けられた。

 結局、試合は2-2のまま終了。ユナイテッドは前節のシェフィールド・ユナイテッド戦に続き、リーグ戦で昇格組相手に勝ち星を落とした。

強度の低いボランチ

オーレ・グンナー・スールシャール
スールシャール監督の未来は暗い【写真:Getty Images】

 ユナイテッドはこれでリーグ戦9試合連続失点。ここ2試合は複数失点となっているなど、守備の問題が浮き彫りとなっている。DF史上最高額の移籍金で今夏に加わったマグワイアの存在も、今となっては虚しい。

「(リードを維持できないのは)今シーズンは頻繁に見られている。流れを変えて逆転しても勝ち切れない。ただ勝ち切るのではなく、我々は2-0か3-0にしたい」

 クラブ公式サイトによると、オーレ・グンナー・スールシャール監督は試合後の会見でこのように話していたという。

 さらにマグワイアも試合後、MUTVに「DFとしてはフラストレーションが溜まる。ここ2試合以前はここまで失点が多くなかったが、2試合で5点も取られている。DFとしては残念で仕方がない」(クラブ公式サイト参照)と語っていたという。選手、監督ともに守備が課題であるということは、当然ながら共通認識として持っているようだ。

 守備の問題は、当然ながら最終ライン4人にも責任はある。この日の2失点目も、ウィリアムスの押し上げが一人遅れたことで奪われたものであった。その辺りの意識の低さは確かに問題だ。

 ただ、ここ最近露呈しているのはボランチの強度の低さ。フレッジとMFアンドレアス・ペレイラだ。

 MFポール・ポグバとMFスコット・マクトミネイが負傷で不在という状況で、彼らが起用されるのは仕方がないが、あまりにも強度が低すぎる。A・ペレイラに関してはボールロストも多く、一体どこで役割を果たしているのかわからないレベル。フレッジも76分の場面でFWウェズレイに身体を寄せていたにも関わらず、少し相手の手が当たったのか、すぐに守備をやめるという意識の低さを見せた(当然ファウルはない)。苦しい事情であるユナイテッドに、果たしてこういった選手は必要なのか。

 もちろん、ユナイテッドは全体的にラインが高く、それゆえボランチには攻守両面で多くのものが求められている部分はあるが、それにしても彼ら二人ではやはり力不足だ。先ほども記した通り、ポグバとマクトミネイの二人が不在という影響は大きい。フレッジとA・ペレイラ以外に同ポジションが務まる選手もいないのが現状である。

 しかし、明らかなウィークポイントであるにもかかわらず、スールシャール監督は動きを見せる気配がない。トップ下が機能せず、結局ラッシュフォード、D・ジェームズ、FWアントニー・マルシャルで攻撃を組み立てるなら、4-3-3を試すという考えがあってもいいように思うが。もちろんシステム変更したからといってすぐに結果が出るほど勝負の世界は甘くない。ただ、このまま行くよりは、遥かに良い選択になるはずだ。

 ユナイテッドは次節にトッテナムと、その次にはマンチェスター・シティとのダービーマッチが控えている。このままいけば、連敗は覚悟しなければならない。ユナイテッドは限界。スールシャール監督の未来も暗い。

(文:小澤祐作)

【了】

新着記事

↑top