久保建英はいつも孤軍奮闘。マジョルカに見られない成長の跡、“中心が中心”でありすぎる始末

リーガ・エスパニョーラ第18節、マジョルカ対セビージャが21日に行われ、0-2でアウェイチームが勝利している。MF久保建英はリーグ戦7試合連続の先発入り。決定的なパスを3本も出すなど、躍動していた。しかし、得点は0。成長の見られないチームに足を引っ張られる結果になった。(文:小澤祐作)

2019年12月22日(Sun)11時15分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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久保は幾度となくチャンスを生むも

久保建英
セビージャ戦でも先発出場を果たした久保建英【写真:Getty Images】

 前節のセルタ戦を2-2の引き分けで終えたことで、リーグ戦の連敗を止めることに成功したマジョルカ。そんな同クラブが今節に迎えた相手は、リーグ第17節を終えた時点で3位につけていた強豪・セビージャだ。下位に沈むマジョルカにとっては、当然ながら難敵となる。厳しい試合になることはあらかじめ予想できた。

 そんな一戦で日本代表MFの久保建英は再び先発入り。これでリーグ戦では7試合連続のスタメン出場となった。

 前節のセルタ戦は相手の徹底マークに苦しみほとんど仕事を与えてもらえなかった背番号26であったが、この日は立ち上がりから積極的にボールに触れる。そして2分には、右サイドで対峙したDFセルヒオ・レギロンを完全に振り切ると、グラウンダーのクロスでFWラゴ・ジュニオールの決定機を演出。試合開始早々から魅せた。

 しかし、その後の試合はセビージャがペースを握る展開に。マジョルカはサイド攻撃を基本とするアウェイチームに対し全体のラインがかなり後ろへ下がってしまい、高い位置でボールを奪うことができない。DFヘスス・ナバスなどに何度もサイドを破られ、ピンチを迎えてしまった。

 そして20分にはCKからDFジエゴ・カルロスに得点を許し、1点ビハインドを背負う。これでリーグ戦では5試合連続で先制点を献上することになった。

 チームの勢いが失われれば、当然ながら久保にボールが回ってくる数も減る。右サイドで孤立するシーンが徐々に増えてきており、立ち上がりに見せた巧みなプレーも発揮できなくなっていた。

 1点ビハインドとネガティブな状況から抜け出せなかったマジョルカは、ヘスス・ギル・マンザーノ主審の不可解な判定にもストレスを溜めるようになり、自分たちの方向性を完全に見失う。その悪い空気を払拭するかに思われたFWアンテ・ブディミールのゴールもVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)判定で取り消されるなど、運にも見放された。前半終了時には久保も審判団に苦言を呈す場面が見られるなど、チーム全体として冷静さを失っていた。

 後半はセビージャの勢いも落ち、マジョルカにも反撃のチャンスがあったが、ここで活躍したのがまたもVAR。62分にMFイドリス・ババがペナルティエリア内でMFジョアン・ジョルダンの足を踏んだとしてセビージャにPKが与えられた。これをMFエベル・バネガが冷静に沈め、アウェイチームのリードは2点に広がった。

 その後のマジョルカは久保を中心になんとか1点を奪おうと反撃を試みる。67分には左サイドを破った背番号26からDFフラン・ガメスへ絶妙なクロスが通る。しかし、これをゴールへ繋げることはできない。85分にも中央の久保から右のガメスへパスが入り、絶好のチャンスが訪れるも、シュートは枠外へ。久保が作り出した再三のチャンスを、味方がことごとく潰してしまった。

 こうして1点も奪うことができなかったマジョルカはそのまま0-2で敗北。これで2019年内のリーグ戦は終了ということになったが、同クラブはセルタの結果によっては降格圏内で年越しを迎える可能性も出てきた。状況は、かなり厳しいと言える。

成長が見られないマジョルカ

 マジョルカはプリメーラ・ディビシオン復帰1年目ということもあり、苦戦を強いられるのはシーズン前からわかっていた。しかし、蓋を開けてみれば、その内容は予想以上に深刻であった。

 まず、選手一人ひとりにボールを貰う意識が低い。この日も選手間でパスのズレやポジションが被ったりと、良い連係を取れている印象はまったく見られない。カウンターの場面でも飛び出してくる選手がかなり少なく、結局は個人で打開するしかなくなってしまう。この日も攻めは久保やラゴ・ジュニオールの個人技によるものがほとんど。これでは、点を奪えないのは当たり前だ。

 とにかくボールを持ってからの判断も遅い。普通ならツータッチ目でパスを出せる場面でも、マジョルカの選手たちは余計なスリータッチを入れてしまうことが多々ある。こうなると、受け手側と出し手側のタイミングが合わなくなるのは当然だ。せっかく受け手側がいい位置にしたとしても、そこを使うまでのテンポが悪いので、結局は相手の守備陣が先にカバーに入ってしまう。久保も何度かそういったことが影響してボールが回ってこなかった。このあたりは技術の問題もあるが、一つの意識で変えられることでもある。しかし、マジョルカの選手たちにはその改善が見られないのだ。

 その中で久保は奮闘している方だ。ボールを持てば必ずと言っていいほど相手選手を外してチーム全体のラインを押し上げているし、今回のセビージャ戦のように、チャンスのほとんどに久保は絡めている。やはりチーム内では一番技術があり、上手い。守備面での改善点はあるとはいえ、本来の仕事は攻撃なので、そこを果たせていれば十分だと言える。

 しかし、久保がセビージャ戦で全体トップとなる3本の決定的なパスを出しているにも関わらず、ゴール数は0。味方のサポートが相変わらず足りなかった。とくに2分のラゴ・ジュニオールの決定機は、いくら利き足でのシュートでなかったとはいえ、押し込むだけの最高のクロスであった。それをゴールに繋げられないとなると、もうお手上げだ。単純なミスでは許されないほどの、チャンスであったのだから。

 これはセビージャ戦に限った話ではないが、久保に対するサポートの無さは今回の試合までずっと改善されなかった。先述した通り、選手一人ひとりにボールを貰う意識がないため、久保はいつも孤軍奮闘するしかない。味方のサポートがあれば使えそうなスペースがあっても、そこに飛び込んでくれる人はほとんどいない。攻撃の中心は久保だが、中心が中心でありすぎている。ここはかなり深刻な問題だ。

 2019/20シーズンの前半戦が終了したが、マジョルカには成長の跡がまったく見られなかった。このままでは1年での降格は避けられないだろう。年明け1発目の試合は現地時間1月5日のグラナダ戦。2020年こそは、成長の証が見られるだろうか。

(文:小澤祐作)

【了】

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