マンC、浮き彫りとなった欠点。ウルブスの“力”に撃沈、加速するリバプール優勝への期待

プレミアリーグ第19節、ウォルバーハンプトン対マンチェスター・シティが現地時間27日に行われ、3-2でホームチームが勝利している。11分という早い時間帯にエデルソンを退場で欠いたシティは、ウルブスに対し防戦一方。耐えきることができなかった。その中で浮き彫りとなったのは、シティの守備力の低さだ。(文:小澤祐作)

2019年12月28日(Sat)11時36分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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試合開始早々にプラン変更

マンチェスター・シティ
マンCはウルブスに逆転負けを喫している【写真:Getty Images】

 現地時間26日に行われたプレミアリーグ第19節のレスター対リバプールの首位攻防戦は、アウェイチームが圧倒的な強さを見せつけ4-0と快勝している。リバプールは今季のリーグ戦で無敗を維持。昨季果たせなかった優勝へ向け、これ以上ないほど順調な歩みを見せている。

 そのリバプールを追うマンチェスター・シティは、現地時間27日に行われた第19節で難敵・ウォルバーハンプトンと対戦。首位・リバプールとシティの差は第18節を終えた時点で11ポイントとなっていたが、前日の試合でリバプールがレスターに勝利を収めたため、その差は暫定的に14まで広がっていた。シティにとってはその差を11に戻すためにも、ウルブス戦の勝利は必須だった。

 シティはDFエメリック・ラポルトやDFジョン・ストーンズら守備陣に負傷者が続出中と苦しい状況にあるが、この試合ではFWセルヒオ・アグエロが先発に復帰。ここ最近好調を維持しているFWリヤド・マフレズとFWラヒーム・スターリングとの3トップを形成することになった。

 試合は立ち上がりからシティがボールを保持する展開に。スターリングらの個が活きるシーンが開始早々から見られるなど、入りとしては決して悪くなかった。

 しかし、試合は思わぬ展開を迎えることになる。11分、MFレアンデル・デンドンカーのロングボールに抜け出したFWディオゴ・ジョッタを、前に飛び出してきたGKエデルソンがファウルで止めたとして、ブラジル人GKにレッドカードが提示。シティはいきなり数的不利な状況に陥ったのである。

 だが、シティは退場者が出た直後にはあまり大きく揺るがなかった。むしろ、ウルブスは一人少なくなったシティの戦い方に苦戦していたようで、なかなか効果的な攻めを発揮できず。このあたりの冷静さは、さすが現プレミアリーグ王者といったところであった。

 ウルブスにペースを渡さなかったシティは20分、マフレズの個人技が光りPKを奪取。これをスターリングが沈め、一人少ない中でも先制することに成功した。

 後半、シティはマフレズを下げDFエリック・ガルシアを投入。ボールポゼッションを放棄し、ウルブスの攻めに耐える手段に出たのだ。

 50分にはカウンターからMFケビン・デ・ブルイネが巧みなポジショニングとパススキルを発揮し、最後はスターリングが得点。数的不利な状況でも個の力を生かし、アウェイで2点のリードを奪ったのである。ここまでは、シティの底力が表れていた。

ウルブスの攻撃力に軍配

 2点のリードを奪ったシティは、守備時に5バックで後ろを固め、中盤は3枚、最前線にスターリング一人を残すという布陣を取った。ウルブスに対してはある程度中盤でボールを支配する余裕を与え、深い位置まで侵入してきた段階でボールを刈り取る。こうした狙いを持っていた。

 攻撃時はサイドバックが高い位置を取るが、基本的には陣地を回復させるだけで十分であった。攻めはスターリング、デ・ブルイネ、MFベルナルド・シウバの3人のみで行い、それより後ろの選手は相手のカウンターに備える。普段はボールポゼッションを基本とするシティだが、今回はエデルソンが退場したことにより、ボールを放棄。慣れない戦い方で試合を進めるしかなかったのだ。

 しかし、そのプランは一気に崩れ去る。55分にはFWアダマ・トラオレのパンチ力抜群のシュートが突き刺さり、1点を返されてしまう。これでスタジアムのボルテージも格段にアップ。ウルブスのギアが、一気に上がったのである。

 シティは防戦一方であった。幾度となくシュートを浴び、耐える時間が続く。1点リードを奪っているとはいえ、余裕は一切ない。A・トラオレの突破力に何度も手を焼き、ギリギリのところでボールを跳ね返し続けた。

 こうなると、戦術どうこうは関係ない。試合はウルブスの攻撃力、シティの守備力のどちらが上回るかという単純な展開になっていたと言える。

 そして、軍配は前者に上がった。ウルブスは82分にDFバンジャマン・メンディの判断ミスを見逃さなかったA・トラオレが相手陣内深い位置でボールを奪取。グラウンダーのクロスをFWラウール・ヒメネスが沈め同点に。90分にはDFマット・ドハーティが中央を突破しシュートを流し込んで逆転に成功したのである。

 ウルブスに屈したシティはこれで今季リーグ戦5敗目。首位・リバプールとの勝ち点差は「14」にまで広がっている。まだシーズンが続くとはいえ、プレミアリーグ3連覇はかなり厳しいものとなったに違いない。

シティに見られた脆さ

 シティは結果的に支配率38%、シュート数はわずか7本に終わっている。被シュート数は20本。前半開始早々に一人を失ったとはいえ、シティがここまで圧倒された試合はあまり見たことがない。

 また、この試合ではシティの脆さが見受けられた。1失点目はA・トラオレを褒めるしかないが、2失点目はあまりにも軽率な対応であった。先述した通り、この日のシティはボールを放棄し、陣地を回復させるだけで十分だったにも関わらず、メンディがなぜ深い位置でボールをキープしようと思ったのか理解に苦しむ。ゴールキックにしようとしたのだろうが、あまりにも大きな判断ミスであった。

 そして3失点目。ドハーティにはあまりにも中央を簡単に突破されすぎている。MFフェルナンジーニョの出足も遅れているし、何よりドハーティをマークしている選手は一体誰なのか。DFニコラス・オタメンディは気合こそ入っているが、それが空回りし不用意な飛び込みを行うことが多々ある。最後の場面でもボールを取れると思いタックルに行ったが、簡単に交わされシュートコースをプレゼント。決して彼一人の責任ではないが、もう少し冷静な判断力を見せてほしいところだ。

 ラポルト、ストーンズとCBに負傷者が相次いでいる影響は、いまのシティには大きくある。攻撃力は申し分ないが、やはりこれだけ押し込まれると耐えきれない守備力が、いまのシティを物語っている。今冬でのCBの補強は急務だと言えるだろう。

 この試合では戦術関係なく、お互いの単純な力対力の勝負になった。その中で浮き彫りとなったのは、シティのディフェンスラインの脆さ。リーグ優勝、チャンピオンズリーグ(CL)制覇を狙うのであれば、やはりこのあたりには危機感を覚えねばならない。

(文:小澤祐作)

【了】

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